安倍首相の安保法案についての説明がめちゃくちゃなので、賛成派の人も混乱しているようです。そのため安倍首相に輪をかけておかしなことを言う人も出てきました。
たとえば、「BLOGOS」にこんな記事が載っていました。
 
 
安保法案を『違憲だ!違憲だ!』と叫ぶ全ての方へ 「勉強不足です。勉強してください」
 
日本国憲法の前文は、どんな人が読んでも感動すると思うよ
 
 
ふたつの記事はまったく同じ論理構成になっています。つまり安保法案の根拠を日本国憲法前文と国連憲章に求めているのです。
 
どちらの記事も、憲法前文のこの部分を引用しています。
 
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 
自国のことのみに専念してはいけないので、アメリカを助ける安保法案に賛成するべきだというのです。
 
確かに人助けはたいせつなことですし、他国を助けることも同じですが、それは他国が困っていたり、しいたげられていたりした場合です。なぜ世界一の強国であるアメリカを助けなければならないのでしょう。憲法前文に書いてあるのはそういうことではないはずです。
 
また、このふたつの記事は、国連憲章のまったく同じ部分(51条)を引用しています。
 
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。
 
つまりこれは集団的自衛権を認めているので、安保法案は国連憲章にもかなっているというわけです。
確かに国連憲章は集団的自衛権を認めていますが、それはあくまで権利として認めているので、義務としているわけではありません。
 
そして、この自衛権も「安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間」という限定つきです。
ところが、アメリカは国連とまったく関係なしに戦争をしています。これは明らかに国連憲章違反です。
 
日本国憲法前文も国連憲章も、戦争でひどい目にあう人をなくしたいという精神を表したものだと思いますが、アメリカは世界でいちばん戦争をする国です。アメリカを助ける理由に憲法前文や国連憲章を持ち出すのは、その精神に反します。
 
 
本来なら安倍首相は、「強いアメリカについていくのが国益だから安保法案が必要なのだ」と言えばいいのですが、立場上そうあからさまには言えません。ですから、それは安倍応援団が言うべきなのです。
 
「強いアメリカについていくのが国益」というのは現実主義的な考え方で、それなりに賛同者もいるはずです。
 
しかし、私の見る限りでは、そういうことを言う人はいません。
いないどころか、逆に憲法前文や国連憲章を持ち出す人がいるわけです。
安倍応援団は誰よりも憲法前文を否定する立場ですから、あまりにもご都合主義と言わざるをえません。
 
日本の右翼はこのところ劣化が進んでいますが、とうとう現実主義者もいなくなってしまったようです。