アメリカ共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏が暴言を連発していますが、それでも大人気です。いや、それゆえに大人気というべきでしょう。暴言が多くの人の本音を代弁しているからです。
 
トランプ氏はメキシコ人差別発言もしています。メキシコからの移民について「麻薬や犯罪を持ち込む。彼らは強姦犯だ」と決めつけ、メキシコ国境に「万里の長城を築く」と公約しました。
 
アメリカでは黒人差別がよく問題になりますが、メキシコ人差別もかなりのものです。
 
私の世代は映画やテレビドラマでアメリカの西部劇をよく見ていたので、「私は人生でたいせつなことはすべて西部劇で学んだ」と前に書いたことがありますが、西部劇にはよくメキシコ人が出てきます。そして、出てくるメキシコ人は、思いっきり残忍な悪人と、思いっきり陽気なお調子者と、純真な子どもの3種類しかいません。
つまり「普通のメキシコ人」とか「人間的なメキシコ人」というのは出てこないのです。
 
これは今のハリウッド映画でもほとんど同じです。
 
同じ隣国でもカナダ人はちゃんと普通の人間に描かれますから、違いは歴然としています。
カナダ人はたいてい白人のアングロサクソン系ですから、これは人種差別というしかありません。
 
それにしても、メキシコはアメリカと国境を接しているのにずっと貧しいままで、犯罪組織ばかりがふえているようです。
日本人の感覚からすると、豊かなアメリカに接しているのは経済的には好条件と思えます。低賃金を生かしてアメリカに輸出する産業が発達するはずで、だんだんとアメリカ並みの豊かな国に近づいていきそうなものですが。
 
もっとも、アメリカに近い国、たとえばプエルトリコ、ハイチ、ジャマイカ、ニカラグア、ドミニカ、パナマ、コロンビアなどはみな同じようなものです。
いや、中南米すべてが似たようなものです。ブラジルやベネズエラは一時経済が好調でしたが、最近はそうでもありません。
ほとんどの国が貧困と犯罪に苦しんでいます。
 
これはアメリカのせいだと考えるしかありません。つまりアメリカに民主的な政権をつぶされ、親米独裁政権を支援されたために国民は政治的に成熟せず、アメリカの資本に収奪されて貧困層が多いために犯罪がふえるのだと思われます。
 
日本のネトウヨは、韓国に関わる国は不幸になる法則があると主張して、よく法則発動などといって喜んでいますが、実際のところは、アメリカに関わる国は不幸になるという法則のほうに現実味があります(ヨーロッパなどは別です。あくまでアメリカから差別的に扱われる国に関してです)
 
フィリピンはアメリカの植民地でしたから、今にいたるも政治的に成熟せず、主に出稼ぎで稼ぐような国になっています。
 
反面、キューバはアメリカに経済制裁されて貧しいですが、政治は安定していますし、犯罪も少ないとされています。
 
アフガニスタン、イラクなど中東の国も、アメリカとの関わりが大きいほど不幸になっています。サウジアラビアも産油国なので経済は豊かですが、最悪の独裁国です。
 
ヨーロッパ以外でアメリカと関わって幸福になった国は見当たりません。
 
そうすると、日本はどうなのかということになります。
日本は自民党の一党独裁が続いて、政治的にはまったく成熟していません。
経済面は、冷戦時代は高度成長で豊かになりましたが、このところずっと停滞しています。
 
安倍政権はますます日本をアメリカに従属させるつもりですが、そうするとアメリカに関わる国は不幸になるという法則もますます発動しそうです。