磯崎陽輔総理補佐官が安保法案について「法的安定性は関係ない」と発言して批判され、発言撤回に追い込まれました。
 
この発言が批判されたのは、今が平和だからでしょう。もし戦争の危機が迫っているか戦争中であれば、「この非常時に法律論なんかしている場合か」などと、批判するほうが逆に批判されるということも十分に考えられます。
 
そんなことを考えていたら、産経新聞も同じことを考えたのでしょう。次の記事はどう考えても磯崎補佐官の発言を踏まえたものです。
 
 
社民系組織メンバーの「拉致より憲法」発言に家族会反発 秋田街頭で隣で活動中、「被害者家族の思い踏みにじる」
 
 秋田市で4日に行われた北朝鮮による拉致被害者家族会の街頭活動中、隣で活動していた安全保障関連法案に反対する社民党系組織のメンバーが「拉致より憲法だ」と発言し、家族会が反発する一幕があった。増元るみ子さん(61)=拉致当時(24)=の弟で、家族会元事務局長の照明さん(59)は「拉致被害者や家族の実情を考えてほしい」と話している。
 
 家族会の街頭活動は、秋田竿燈(かんとう)まつりに訪れた観光客らに被害者救出を訴えるため、照明さんのほか、田口八重子さん(59)=拉致当時(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(77)、松本京子さん(66)=同(29)=の兄の孟(はじめ)さん(68)や秋田県内の特定失踪者家族が参加してJR秋田駅前で行われた。
 
 すぐ隣で、社民党支持者が中心の「秋田・戦争をさせない1000人委員会」(代表・山縣稔県教組委員長)が街頭活動を始めたため、救う会秋田メンバーの男性が1000人委員会メンバーの男性に署名を求めたところ、「拉致より憲法だ」と拒否されたという。
 話を聞いた照明さんは「旧社会党、社民党は拉致問題解決の障害になり、被害者家族の思いを踏みにじってきた」と演説。1000人委員会側に抗議する救う会秋田幹部もいた。
 
 照明さんはその後の県庁での記者会見で「被害者家族の多くは安保法案の議論に違和感を覚えている。約40年前に日本人が北朝鮮に拉致された時点で戦争が始まっている。戦っている被害者を放置している状況が平和なのか」と訴えた。
 
 飯塚さんは「国民にとって重要な問題なのに、署名活動をしても、横目でちらっと見て通り過ぎる人がいるのが気になる。だが、政府と北朝鮮に対するメッセージとして活動を続けていきたい」と述べた。
 
 家族会の反発について、1000人委員会の山縣代表は「拉致問題について、会としての見解はない。それぞれのメンバーの考えで対応している」と話している。
 
 
家族会の一員の発言とはいえ、「日本人が北朝鮮に拉致された時点で戦争が始まっている」というのはトンデモ理屈です。産経新聞がそんなトンデモ理屈を記事に書いたのは、これと磯崎補佐官の発言を結びつけたいからと思われます。
 
産経新聞は「戦争に際しては法的安定性は関係ない」と主張して、磯崎補佐官の援護射撃をしようとしたのでしょう。
 
しかし、今は戦時下ではありませんし、「拉致=戦争」というのもトンデモ理屈ですから、磯崎補佐官や産経新聞の言い分に国民の支持はありません。
 
磯崎補佐官は安全保障担当なので安保法案づくりに関わりました。やっているうちに頭の中が戦争モードになったのでしょう。あるいは安倍首相の気分に感化されたのかもしれません。そのため問題発言をしてしまいました。
 
しかし、経新聞の記事は、ほんとうに戦争が起こると、こうした発言に反対しにくくなるということも考えさせてくれます。