ロシアのメドベージェフ首相が8月22日に択捉島を訪問したことに日本政府は抗議しましたが、それに対してロシアのロゴジン副首相は「切腹」という言葉を持ち出して反論しました。
 
 
「日本人なら切腹して静かに」=首相択捉訪問、抗議に不快感-ロ副首相

【モスクワ時事】ロシアのロゴジン副首相は、メドベージェフ首相による22日の北方領土・択捉島訪問を受けた日本政府の抗議に不快感を示し、「切腹」という言葉を用いて、日本人は静かにすべきだと主張した。23日夜、自身のツイッターに投稿した。
 ロゴジン副首相は「真の(日本の)男なら、伝統に従ってハラキリをして落ち着いたらいい。今は騒いでばかりいる」とやゆした。
(後略)
 
明らかに日本人をバカにした言い方です。
岸田外相はこれに対して記者会見で「非建設的な発言にコメントするのは控える」と述べただけです。
菅官房長官も「びっくりした。非建設的な発言で、コメントする気にもならない」とハンで押したように同じことを言いました。
 
日本政府の反応は、中国や韓国に対するときと違って弱腰です。
そもそもメドベージェフ首相が択捉島を訪問したときから日本政府は弱腰でした。一応抗議はしましたが、きわめて弱い言葉での抗議です。
 
岸田外相はアファナシエフ駐日露大使を外務省に呼び、「日本の立場と相いれず、国民の感情を傷つけるものであり、極めて遺憾だ」と述べました。
菅官房長官は記者会見で「北方四島に関する日本の立場と相いれず、日本国民の感情を逆なでするもので、極めて遺憾だ」と、またしても同じように述べました。
 
検索してみたら、2011年に当時の枝野官房長官が、ロシアのイワノフ副首相が択捉島と国後島を訪問したときに、「我が国の国民感情を傷つけるものであり、大変遺憾である」と述べています。
つまり「国民感情を傷つけるので遺憾だ」というのは、外務省の書いた台本なのです。
ロゴジン副首相の「切腹」発言に岸田外相と菅官房長官がまったく同じことを述べたのも、外務省の台本でしょう。
 
別に外務省の台本通りでもいいのですが、「国民感情を傷つける」という抗議の仕方では、「そんなことで傷つくほうが悪い」と反論することが可能です。つまり相手の行為のどこが悪いかを指摘していないのです。
 
日本政府が弱腰なだけではありません。日本国民からもメドベージェフ首相の択捉島訪問はけしからんとか、ロゴジン副首相のハラキリ発言はけしからんという声はほとんど上がりません。中国韓国に対するときとは大違いです。
 
この違いはなにかというと、ロシアが白人の国だからではないでしょうか。日本人は人種的コンプレックスを持っていて、ロシアだのアメリカだのには強くものが言えないのです。
 
日本がロシアと戦争したときは、日英同盟によってイギリスが後ろ盾になっていました。日本は世界の一流国であるイギリスと同盟できたことで舞い上がって、イギリスに操られてしまったのです。
日本がアメリカと戦争したときも、三国同盟のドイツ、イタリアが後ろ盾になっていました。
 
私は前回の「『テロとの戦い』よりも『差別との戦い』を」という記事で、国際社会において人種差別の問題がいかに大きいかということを言いました。その流れで今回の記事では、白人コンプレックスの日本のロシアへの態度は弱腰で情けないということを言おうとしたのですが、考えてみれば、このような日本のロシアへの態度は、節度ある外交と言えなくもありません。
むしろ問題なのは、日本の中国韓国に対する態度です。人種差別意識があるためつねに感情的になって、あらゆることがこじれてしまいます。
 
むしろ日本は、ロシアに対するように中国韓国に対していけば、いい外交ができるのではないかと思いました。