消費税の軽減税率について自民党と公明党がもめていますが、新聞業界もこれにからんでいます。新聞に軽減税率の適用を求めているのです。
 
軽減税率というのは、貧困層のために食料品などの生活必需品の税率を低くしようというものですが、今の時代、新聞は生活必需品とはいえず、むしろ贅沢品です。
新聞業界の要求は、我田引水もはなはだしいものですが、それだけではなく、新聞業界の自殺行為でもあります。
 
1015日に新聞大会が行われ、こんな決議がなされています。
 
 
<第68回新聞大会決議> 戦後70年、新聞は平和と自由を希求し、多様な言論で国民的議論を深化させる役割を担ってきた。日本の安全保障政策が大きく転換しようとしている中、改めて新聞人として責任を自覚したい。民主主義の根幹である報道の自由は、戦後社会が最も尊重してきた理念の一つだ。しかし、政界の一部にそれを軽んじる風潮が見られる。われわれは、いかなる圧力にも毅然(きぜん)たる態度で臨み、国民の知る権利に応えていく。日本はいま、内外のさまざまな構造変化を受け、多くの課題を抱えている。新聞は未来に向け、あるべき社会を読者とともに考え、公共的な使命を果たしていくことを誓う。
 
 
 <軽減税率を求める特別決議> 新聞は民主主義社会の維持・発展や文化水準の向上に大きく寄与し、生活必需品として全国どこでも安価に入手できる環境が求められる。そうした環境を社会政策として構築するため、消費税に軽減税率制度を導入し、新聞購読料に適用するよう強く求める。
 
 欧米諸国は、「知識に課税せず」との理念に基づき、新聞の税率には特別措置をとっている。知識への課税は文化力の低下をもたらし、国際競争力の衰退を招きかねない。新聞への課税は最小限度にとどめるべきである。
 
 
決議の前半には「報道の自由」について立派なことが書かれています。
しかし、後半の<軽減税率を求める特別決議>はそれと矛盾します。
 
軽減税率を導入することがまだ決まっていないので、それがどんな法案になるのかわかりませんが、私が与党の政治家なら、その法案に「軽減税率を適用する品目については2年ごとに見直しを行う」といった規定を盛り込みます。
実際、どんどん新商品が生まれてきますし、世の中の価値観も変わってくるので、こうした規定は必要でしょう。
 
そうなると、2年ごとに(別に2年でなくてもいいのですが)、与党の政治家は新聞業界に対して「新聞を軽減税率の適用から外すぞ」という脅しをかけることができます。
ということは、新聞業界は与党に対してまったく頭が上がらなくなります。
 
法案にそういう規定がなくても、国会における多数党はいつでも法律を改正して新聞への適用を廃止することができますから、やはり新聞業界は政権与党に頭が上がりません。
一度軽減税率の甘いアメをしゃぶってしまうと、アメなしでの生活は考えられなくなります。
 
決議では欧米諸国の新聞も軽減税率の恩恵に浴しているように書かれていますが、欧米では少なくとも日本よりは報道の自由が尊重されていると思われます。
日本では政治家が平気で報道の自由を侵害するような発言をしますし、それに対する世論の反発もあまり強くありません。それに、軽減税率の適用を外すぞという脅しは水面下ですることができます。
 
そういうことを考えると、新聞に軽減税率が適用されることは“新聞の死”といっても過言ではないと思います。