12月2日にカリフォルニア州サンバーナディーノで起きた14人死亡の銃乱射事件はテロ事件と認定されました。IS(イスラム国)への空爆を強化する足元でテロが起きたわけです。空爆ではテロが防げないというより、むしろ空爆がテロの原因になっているというべきでしょう。
 
こんなときでも日本で「テロは許せない」と言う人がいるのは不思議です。ガンジー的な非暴力主義の人が言うのならわかりますが、「テロは許せない」と言うだけなら空爆は許しているのかということになります。「テロも空爆も許せない」というべきです。
 
 
空爆ではよく誤爆が問題になりますが、誤爆は意図したものではないので、意図して罪もない人を狙うテロとは違うという意見があります。
しかし、そもそも誤爆でないところの“正爆”というのがあるのでしょうか。
 
たとえばテロリストと非テロリストの線引きはどうなっているのでしょう。
イスラム国はその名の通り国としての行政組織を持っています。そこがほかの原始的な武装勢力と違うところです。
ですから、空爆の対象にせずに育てていけば、テロ組織にならずに国際社会の一員になった可能性があります(アメリカはむしろそれを恐れたのかもしれません)
 
ともかく、イスラム国は行政組織を持っているので、たとえば税務署員もいるわけです(たいていはフセイン政権時代の役人です)。銃を持たずもっぱら税務署員として仕事をしている人間もテロリストとして空爆の対象なのでしょうか。
これについてはなんの報道もないのでわかりませんが、こういう基本的なこともわからずに空爆を支持している人がいるのは不思議です。
 
それに、テロリストはいつも仲間で固まっているわけではなく、一般の人といっしょにいることもあれば、家族といっしょにいることもあります。テロリストだけ殺害して、絶対ほかの人を巻き込まないということがあるはずありません。
このへんのことについては、フィクションであるとはいえ「ドローン・オブ・ウォー」という映画に描かれています。
 
「ドローン・オブ・ウォー」映画評
 
それに、テロリストという認定が正しいのかという問題もあります。
テロリストという認定は、上空からの監視のほかに、特殊部隊やCIAが内通者や盗聴などの手段を使って決定します。そして、その決定通りに空爆します。これは検察が死刑を求刑したら裁判なしにそのまま死刑執行がされるのと同じです。被告には弁明する機会すらなく、“誤審”がいっぱいあるに違いありません(ただでさえアメリカは誤審が多く、DNA検査でそれがどんどん明らかになっています)
 
つまりもともと空爆には誤爆も“正爆”もないのです。
たとえばアメリカの田舎町にテロリストが逃げ込んだという情報があっただけで、そこにミサイルを撃ち込んで周囲の住民といっしょに殺しているみたいなものです。
もし実際にそれをやったら、アメリカ国民は憤激するでしょう。
 
今、アメリカ人やヨーロッパ人が空爆に対して憤激していないのは、アラブ人や黒人やイスラム教徒への差別意識があるからです。
 
 
なお、パリ同時多発テロのとき、「民間人を狙うのは卑怯だ」と言われました。
しかし、アメリカ軍を直接攻撃することは実質的に不可能です。
「民間人を狙うのは卑怯だ」と言う人は、「お前たちはやられっ放しでいろ」と言っているのと同じです。
 
また、パリ同時多発テロは「無差別テロ」とも呼ばれました。
しかし、フランス国民を狙ったテロですから、決して「無差別」ではありません。
フランス政府は空爆に参加していましたし、フランスは民主主義国ですから、その決定に対してフランス国民は責任があります。
空爆で多数の人間を殺しながら自分たちは平和で豊かな生活をいつまでも享受していられると思っていたとすれば、あまりに甘いと言わねばなりません。
 
こういうことを書くと、「お前はテロに賛成なのか」と言う人が出てきそうですが、私はテロにも空爆(つまり一方的な軍事力行使)にも反対しているだけです。