アメリカ大統領選共和党候補のドナルド・トランプ氏の暴言が止まりません。「すべてのイスラム教徒の米国への入国を禁止するべきだ」という発言には国際社会からも批判の声が上がりました。
しかし、この発言のあとの世論調査でもトランプ氏は高支持率を保っています。
 
「反イスラム」発言しても…トランプ氏、共和党の首位キープ 最新世論調査
 
 ロイター通信は11日、来年11月の米大統領選に向けた最新の世論調査結果を発表し、共和党指名争いで実業家トランプ氏(69)が支持率35%で首位を維持した。イスラム教徒の入国拒否という極端に排外的な主張を打ち出した後も、人気が揺らいでいないことが分かった。
 
 調査は8~11日に実施。カリフォルニア州の銃乱射事件を受け、トランプ氏が7日表明した入国禁止の主張はオバマ政権や共和党指導部だけでなく、英仏首相ら同盟国の指導者からも非難を浴びている。しかし、共和党支持者のうち64%は問題視せず、「不快」としたのは29%にとどまった。
 
 ただ、全体では47%、民主党支持者の間では72%が「不快」と回答。民主党、共和党支持者の間で受け止め方が大きく異なることが浮き彫りになった。(共同)
 
どうやらアメリカ国民全体では、トランプ氏の反イスラム発言の支持と不支持は半々ぐらいのようです。しかし、本音の部分では反イスラム感情はもっと幅広く存在しているはずです。
 
これまでもこういう差別主義の発言をする大統領候補や政治家はいましたが、たいてい差別語を言って批判され、消えていきました。アメリカではポリティカル・コレクトネスといって、差別語を使うときびしく批判されます。
しかし、トランプ氏はテレビ番組の司会を10年以上やっていたので、差別語を使わないことには習熟しています。差別語を使わずに差別発言をしているわけです(日本の橋下徹氏も似ています)
 
たとえばトランプ氏はニューヨーク・タイムズの障害のある記者のものまねをしながらその記者を批判したことがあり、これは障害者差別ではないかと言われました。
 



 
映像を見ると、明らかに障害者をあざけっていると思われます。しかし、トランプ氏はその記者のことは知らないとして否定し、そのまま通ってしまいました。要するにものまねだけでは、つまり差別語を使っていなければ、問題とされないのです。
 
ポリティカル・コレクトネスというのは、要するに差別語をなくせばいいわけで、結果的に差別の実態を温存するものです。
 
トランプ氏はイスラム教徒入国禁止発言を批判されると、「第二次世界大戦中の日系人強制収容の方がはるかに悪い」と言って自身の発言を正当化し、また当時のルーズベルト大統領について「非常に尊敬されている大統領だ」とも言いました。
 
日系人強制収容所については、レーガン大統領が「深刻な不法行為」であるとして1人当たり2万ドルの賠償金を払うことを決定しています
これをもってアメリカは国として人種差別を反省したと思われるかもしれませんが、これはあくまで日系人がアメリカ国民だったから賠償したのです。アメリカ国民でないところの日本人やその他の人種が差別されないわけではありません。
 
アメリカにおいては、アメリカ国旗に忠誠を誓ったアメリカ国民と他国民とはまったく違うものと認識されています(ですから、空爆で他国民を何人殺そうがアメリカではほとんど問題になりません)。
つまり、アメリカ国民と他国民の間に差別があり、さらにアメリカ国民の中でも人種差別やイスラム教徒差別があるというわけです。


トランプ氏は1210日、「警察官を殺害した者には一律死刑を科す」という公約を発表しました。
アメリカの警察官といえば白人が多く、武器を持たない無抵抗の黒人を射殺するなどが差別的だとして問題になっています。トランプ氏の公約は、こうした差別と同じ方向にあるものです。

さらに、アメリカは「世界の警察官」であるということも思い出されます。
アメリカを攻撃する者には徹底報復するということも、トランプ氏の頭の中にはあるのでしょう。

ともかく、トランプ氏の発言を聞いていると、アメリカが世界に冠たる人種差別大国であることがよくわかります。