今年の漢字は「安」に決まりました。「安保法案」に加えて「とにかく明るい安村」もあったからかと思いましたが、安倍首相は「『安』を倍増すると『安倍』になる」と自分自身のこともアピールしています。
 
私自身は今年の漢字は「戦」ではないかと思っていました(実際は「戦」は3位、「爆」が2位)。今年は「戦争法案」に加えて「対テロ戦争」の話題ばかりでしたから。
 
戦後70年ということもあって、テレビ局も戦争関連の特番をいくつもやっていましたが、NHKやTBSなどが戦場の死体の映像を流したのが印象に残りました。死体の映像は東日本大震災のときもまったくありませんでした。サイパンのバンザイクリフから女性が飛び降りる映像も久しぶりに見ました。テレビ局も戦争の真の姿を伝えなければという意識になったのでしょう。
 
それにしても、安保法案のことを「平和安全法案」と言い、一方で「戦争法案」と言ったように、言葉の問題は重要です。
 
たとえば、「集団的自衛権」と言いますが、アメリカが中東で戦争をするのは自衛のためではなく、イラクやイスラエルの自衛を助けるためです。アメリカが助けないと、イラクやイスラエルは存立が根底から覆されるかもしれません。
では、日本がアメリカを助けるのはなんのためでしょうか。日本が助けないからといってアメリカの存立が根底から覆されるということはありません。
ということは、日本は実はアメリカの自衛を助けるのではなく、イラクやイスラエルの自衛を助けるわけです。
「又貸し」という言葉がありますが、これは「又集団的自衛権」と言うべきです。
 
いや、アメリカといっしょになって中東のどこかを攻撃するのですから、「集団的攻撃権」と言ったほうが正確です。
 
そもそも安保法案を巡る議論でも、朝鮮半島とかホルムズ湾とか南沙諸島に出ていく話ばかりで、日本の防衛の話はまったく出ませんでした。せいせい尖閣諸島を念頭に置いてか、離島奪還の演習が行われたぐらいです。
中国の軍拡に対抗しなければという人はいましたが、中国軍が攻撃してきたら自衛隊はどうやって防衛するのかという話は誰もしませんでした。
 
ということは、日本人は実は日本の防衛に危機感は持っていないのです。
 
考えてみれば日本は明治維新以来、自分から攻撃するばかりで、日本が攻撃されて自衛のための戦争をしたという経験は一度もありません。
すべての歴史を通しても、2度の元寇と薩英戦争、下関戦争ぐらいです。
島国ですから当然といえば当然です。
 
では、昨今の安全保障論議はなんのためにしているのかというと、島国にこもっているのではおもしろくないので、外に打って出ていくためです。
それは、朝鮮半島とかホルムズ湾とか南沙諸島とかに出ていく話ばかりしていることを見てもわかりますし、また、「離島防衛」ではなく「離島奪還」の演習をしているのも、どこかに出ていくことを想定しているからでしょう。
これは明治維新以来、日本の歩み慣れた道です。
 
もっとも、今はアメリカがあまりにも強大なので、日本は主体的になにかをするということはなく、あくまでアメリカに従うだけでしょうが。
 
ともかく、今の国際情勢を見ていると、来年の漢字こそ「戦」になりそうな気がします。