熊本地震のために田母神俊雄容疑者逮捕のニュースがすっかりかすんでしまいました。
 
田母神氏はユニークなキャラクターの人物で、「私はいい人なんです」が口ぐせです。
 
私が田母神氏の口ぐせに気づいたのは、氏がへんてこな論文のために自衛隊を辞めて間もないころのことです。ある雑誌の座談会の場に仕事の関係で私も居合わせました。最初のうちこそ田母神氏は普通にしゃべっていましたが、だんだん調子に乗ってきたのか、後半になると「私はいい人なんです」という言葉を連発しました。
自分で「私はいい人なんです」と言う人はまずいません。
ですから、その言葉は冗談と受け止められ、その都度笑いが起きました。
 
田母神氏はいろんなところで「私はいい人なんです」という言葉を連発しています。
「田母神 私はいい人なんです」で検索すると、620万件ヒットし、タイトルに「私はいい人なんです」という言葉のあるサイトがざっと数えても20以上あります。
 
田母神氏が都知事選に立候補したときの街頭演説の第一声を書き起こしたサイトがありました。このときは冒頭から得意のセリフを言っています。
 
 
田母神俊雄氏街頭演説 渋谷駅ハチ公前 20140108
皆さんこんにちは。頑張れ日本!全国行動委員会会長の田母神でございます。昨日衆議院の第一議員会館で記者会見をして、このたびの東京都知事選に立候補することを正式に表明をいたしました。よろしくお願いします。私は黙っていれば非常に怖い顔をしてると言われるんですがね、ところがやさしいんです本当に。顔はこと生まれつきなんでどうしょうもないんですけどもですね、まあこの顔でも良いって人もいるんです。
ですから私とちょっと皆さん付き合っていただくとですね、本当にいい人だということがすぐに分かります。私は本当に心優しくて、いい男だということを自負してますし、私と付き合った人は大体私の悪口をいう人はいないんです。そのくらい私はほんといい人なんです。で、いい人ってのは通常決断力と実行力がないんですよね。でも私はいい人だけども決断力もあるし実行力もあります。これは、私の部下であった航空自衛官がみんな話を聞けば証明をしてくれます。
 
「いい人」という言葉を連発しています。
この人がほんとうに訴えたかったことは、政策なんかよりも「私はいい人なんです」ということではなかったかと思います。
 
人間は誰でもいい人と思われたいものです。その思いがあるから、いい人になるよう努力します。
ところが、田母神氏の場合は、「私はいい人なんです」とモロに主張してしまうわけです。
 
いや、それだけではありません。
アパグループ主催の懸賞論文に「日本は侵略国家であったのか」という論文を応募し、受賞します。これは要するに「軍国日本はいい国なんです」ということを述べたもので、「私」を「軍国日本」に置き換えたわけです。
 
これが自衛隊の高官にあるまじきトンデモ史観の論文だったため自衛隊を追われますが、一方で評価する人たちもいて、田母神氏は評論家として講演などをするようになります。私が会ったのはそのころです。
「軍国日本はいい国なんです」という主張に、冗談めかして「私はいい人なんです」という主張も盛り込み、それが受けているので、とてもごきげんでした。
 
もちろん自分で「私はいい人なんです」と主張する人間がいい人のわけがありません。
公職選挙法違反で逮捕されただけではなく、奥さんと離婚し、愛人がいるという報道もあります。盟友であったチャンネル桜の水島聡社長に政治資金を使い込んだと告発され、泥仕合を演じました。
 
しかし、田母神氏がこんなになってしまったのは、田母神氏を持ち上げた人間にも責任があります。
田母神氏は自衛隊時代には「私はいい人なんです」という主張は抑えていたはずです。
ところが、辞職してから右翼的な人に取り巻かれました。

右翼思想の本質は、自国中心主義と自分中心主義です。右翼的な人は田母神氏の「軍国日本はいい国なんです」だけではなく「私はいい人なんです」という主張まで喜んで聞くので、そのため田母神氏が暴走し、長年連れ添った奥さんとうまくいかなくなり、政治資金を私物化するなどしたのではないでしょうか。


田母神氏の講演や演説で「私はいい人なんです」という言葉を聞いて喜んでいた人も罪が重いといえます。