熊本地震が起こってから、ネット民の「悪意」が暴走しまくっています。
 
いちばん最初の被害者は長澤まさみさんだったでしょうか。
長澤さんは、地震発生から約80分後に、そのニュースを知らずに普段通りに女優の友だちとの写真をインスタグラムに投稿したところ、不謹慎だという批判で炎上し、その投稿を削除しました。
このようにやたら不謹慎だと攻撃する人たちのことを「不謹慎厨」と呼び、そのやっていることを「不謹慎狩り」というのだそうです。
 
こういう場合、「被災者を傷つける」ということが大義名分になります。
しかし、長澤さんの場合、被災者は彼女のインスタグラムを見るどころではないのですから、「被災者を傷つける」という批判は当たりません。
「不謹慎だ」という批判は、批判のための批判です。
 
ダレノガレ明美さんは、ツイッターで被災者のための情報を発信していたところ、「指で操作するだけじゃなくてなんか行動すればいいのに」と批判され、炎上しました。
しかし、この時点では被災地には入れませんし、彼女のようにフォロワー数の多い人の情報発信には価値があるので、批判は的外れです。
 
紗栄子さんは被災地に5002000円を寄付し(2000円は子どもの貯金から)、その振込受付書の写真を投稿したところ、「偽善だ」などの批判で炎上しました。
確かに誰にも知られずに寄付するのが純粋な行為かもしれませんが、芸能人がチャリティーとして慈善行為をアピールするのは誰もが行っていることです。寄付をしつつ、それを自身の芸能活動にも役立てることがそれほど批判されることとは思えませません。少なくとも寄付しないよりは百倍ましです。
 
慈善行為をする人を「偽善だ」と批判することは昔からありました。杉良太郎さんは昔から熱心に慈善活動をしてきましたが、ずっと「偽善だ」と批判され続けてきたそうです。
 
しかし、インターネットが普及してから、その傾向が急速に進んでいることは間違いありません。
普通、人を批判すると、「じゃあ、お前はどうなのだ」と言い返されますが、ネットで匿名の場合は一方的に批判できます。それに手間もかかりません。まさに「指で操作するだけ」です。
 
今回の震災では、女優の井上晴美さんは熊本県に住んでいて、自宅が全壊して、まさに被災者の1人になったわけですが、ブログで被災の状況を発信していたところ、「愚痴りたいのはお前だけじゃない」などと批判され、一時ブログを休止するはめになりました。
また、一般の被災者がネットで「千羽鶴はいらない」などと発信したところ、「傲慢だ」などと批判の声が上がったそうです。
こうなると「被災者のため」という大義名分すらなく、わけがわかりません。
 
こうした傾向は、放置しておくとどんどん進行していきます。
私が常日ごろ言っている「人間は道徳という棍棒を持ったサルである」とはまさにこのことです。