保育園をつくろうとすると、「子どもの声がうるさい」という苦情がくる日本ですが、もちろん保育園だけの問題ではありません。たとえば電車の中で子どもが泣いたりすると、子どもを連れている母親が周囲の冷たい視線にさらされます。
要するに子どもはおとなに迷惑をかけてはならないし、親は子どもをしっかりと管理したりしつけしたりしなければならないというのが今の社会の価値観です。
 
こういう社会では親に大きな負担がかかります。これも少子化の原因になっているに違いありません。
 
こういう社会が当たり前だと思うと大きな間違いです。
たとえばお隣の中国はこんな具合です。
 
 
中国の子育て 大声で走り回るなども温かく見守られる理由とは
 
現役ママが「子育てしづらい環境」と語る人が多い、わが国の子育て事情。海外ではどうなっているのだろうか? 大気汚染や食への不安など、住みづらそうな中国も実は、一人っ子政策のもと、子育て天国だと語ってくれたのは、中国・北京在住のジャーナリスト相田美奈子さん(仮名)。
 
 「妊婦さんは、100%電車で席を譲ってもらえますし、バスでは譲らないと、切符売りの人が、『そこの若い人、ちょっと立って。ありがとうね』と強制的に世話をしてくれるほど。それは10才以下の子供を連れた親子連れにも同じことがいえ、子供に席を譲るのは、老人以外のすべての大人に求められるエチケットとなっています」(相田さん)
 
  さらに、公共の場で大声で走り回る、ベビーカーで電車に乗り込むなどに関しても、やりたい放題。それでも周りは温かく見守り、サポートをしてくれる。なぜそこまで大切にされるかは、社会事情によるところが大きいという。
 
 「福利厚生が発達していない中国では、年金の恩恵を受けられる層はごくわずかですから、老後に安心感を持っている人は、ほとんどいません。
 
  雇用形態が不安定なので、大卒でもよく失業しますし、40才過ぎたら職業人生が終わり、雇ってくれるところがない、なんてことも。   
 
  そこで、最大の保険が子供なんです。社会全体が、若い世代の育成を、自らの『年金』だと思って、労力を投資しているようなところがあるのだと思います」(相田さん)
 
 ※女性セブン20141120日号
 
 
中国は子どもに寛容な社会であるようです。日本とは対照的です。
 
いや、昔の日本も今の中国と同じように子どもに寛容な社会でした。
中江和恵著「江戸の子育て」という本にそのことが書かれていたので、このブログで紹介したことがあります。
 
江戸の子育て
 
おそらくアジアはみな同じような感じだったのでしょう。
むしろ欧米が子どもにきびしい特殊な社会なのだと思います。
日本は過剰に欧米化してしまったのです。
 
上の記事では、中国の社会が子どもに寛容なのは年金制度が不備だからだと書かれていますが、こんなおかしな理屈はありません。親が子どもに老後の世話をしてもらおうと思っているなら、自分の子どもだけたいせつにするはずです。
 
日本人は「子どもに寛容な社会」というのが当たり前のことに思えなくなって、むりやり「年金」みたいな理屈をくっつけたようです。
 
「子どもに不寛容な社会」では、親に負担がかかるだけではなく、子どもも不寛容になって、その子が将来はヘイトスピーチをしたりするようになるのではないでしょうか。