私は前回の「日本はオバマ大統領に謝罪を求めよ」という記事で、核の先制使用を否定しないアメリカが核廃絶を主張するのは信用できないと書きましたが、どうやら日本ではアメリカの主張する核廃絶はすばらしいことと受け止められているようです。
安倍首相もオバマ大統領が広島を訪問することについて、「被爆の実相に触れ、その時の気持ちを世界に発信することは、『核のない世界』を実現する大きな力になる」と語っています。
 
しかし、ちょうどこの時期に国連で核軍縮について話し合いが行われていたのでした。その議論を知れば、やはりアメリカの主張は欺瞞であることがよくわかります。
 
 
核なき世界、多難の現実 日本は不賛同、米などボイコット 「禁止」議論、国連部会終了

 スイスで開かれてきた国連の核軍縮作業部会が13日、核兵器の禁止を巡って、意見が対立したまま今会期を終えた。オバマ米大統領の広島訪問が近づいているが、世界では、核兵器を法的に禁止すべきだという国々と、段階的に減らすべきだという核保有国や日本などとの亀裂が深まる。
 
 「(日本の意見が)適切に反映されていないのは遺憾」「核兵器保有国の参加がなければならない」
 
 2日からの今会期の冒頭、佐野利男軍縮大使は、作業部会議長のタイの大使が示した議論のたたき台に強い口調で注文をつけた。
 
 焦点は、メキシコなどの非核保有国グループが求める核兵器を法的に禁止する措置だ。核兵器禁止条約を念頭に置く。一方、反対する核保有国は会議をボイコット。日本を含め、米国の「核の傘」の下にある国々も反対や不賛同の立場だ。
 
 日本は、北朝鮮の核実験など周囲の厳しい安全保障環境を理由に挙げ、米国の核抑止力を否定しうる即時の核兵器禁止に反対の立場を表明。ロシアによるクリミア併合を受け、東欧のNATO(北大西洋条約機構)加盟国も「我々の生存がかかっている」(ポーランド)と同調した。
 
 日本などが共同提案するのは、「進歩的アプローチ」と名付けた、安全保障の側面を重視しながら徐々に核廃絶を進める手法だ。しかし、時期目標はなく、メキシコの大使は会期終盤に入った10日、「何も新しいものはない」と切って捨てた。一方、佐野大使は「核兵器の法的禁止について意見を集約する見込みはほとんどなさそうだ」と反発し、平行線となった。
 
 作業部会は8月に再度開かれ、秋の国連総会に提出する勧告をまとめる。メキシコなどは、この勧告に「2017年に核兵器禁止の法的措置を交渉する会議を開くこと」を盛り込むよう要求。作業部会に参加した約100の国々の大半が賛同する可能性がある。
 
 「進歩的アプローチ」は日本など「核の傘」の下にある国々を中心に二十数カ国程度の賛同にとどまる見通し。日本政府は、勧告の採決方法を、全会一致にすることを求めている。(ジュネーブ=松尾一郎)
 
 
要するに核兵器を法的に禁止しようという多数の国々に対して、アメリカや日本などが反対しているのです。
「進歩的アプローチ」などというインチキくさい名前をつけて、時期目標もないというのでは、核廃絶は言葉だけと言われてもしかたありません。
 
ちなみに核兵器の法的禁止というのは、すでに国連に提案されている核兵器禁止条約のことです。これには核保有国の中国、北朝鮮、インド、パキスタンも賛成しているのですが、日本は棄権しています。
ほかにも世界では核兵器禁止や核軍縮についてさまざまな取り組みが行われていますが、日本はアメリカに追随しているために、あまり熱心ではありません。
そうしたことは、日本反核法律家協会理事である宮武嶺氏のブログで知りました。
 
中国・北朝鮮が賛成している核兵器禁止条約に反対する日本に広島・長崎への訪問を呼び掛ける資格はない
 
 
日本は「世界で唯一の被爆国」をアピールしながら、核軍縮には熱心でないという欺瞞性を持っています。
 
こうした中でオバマ大統領が広島を訪れ、なんらかのコメントを出し、それに対して安倍首相がなんらかの反応をするわけです。
日本の欺瞞性を世界に発信することになるかもしれません。