長野県は47都道府県で唯一、淫行条例(淫行処罰規定)のない県ですが、ここにきて長野県は条例制定に向けて動き出したということです。
しかし、長野県に先駆けて淫行条例を制定した東京都を見ていると、条例制定の意味はほとんどないといえます。
 
淫行条例というのは、18歳未満の子どもに対してみだらな行為をしたおとなを罰するというものですが、条例が成立すると、おとなを罰するよりも、もっぱら少女を補導し、取り締まるために使われます。
 
たとえば次は、「THE PAGE」の『唯一の非条例県 長野県が「淫行条例」制定にかじを切った背景とは』という記事からの引用です。
 
 
 長野県では歴代知事が条例によらない県民運動方式を尊重してきましたが、ここへ来て阿部知事が条例化に大きく舵(かじ)を切ったのはなぜか。県は、インターネットが広がったことなどで青少年が性被害に巻き込まれるおそれが大きくなっていることなどを挙げています。
 
 また、県警が把握した過去2年間のケースとして、大人に誘われたり脅されるなどして性行為に応じた青少年が17件、20人に上り、これらは現行法では摘発できなかったことなども参考例としてこれまでの有識者などの検討会議などに提示。条例制定への地ならしにしてきた経過もあります。
 
 
淫行のケースが17件、20人と書かれていますが、これは被害者側の子どもの数です。加害者側のおとなの数は書いてありません。おとなよりも子どものほうにフォーカスがいっているのです。
「大人に誘われたり脅されるなどして性行為に応じた青少年が17件、20人に上り、これらは現行法では摘発できなかった」という文章も、おとなを取り締まったり罰したりするよりも、青少年を摘発したいという思いが表れています。
 
 
次の記事は、青少年が被害者となった犯罪のデータを紹介する記事ですが、やはり加害者のことが書いてありません。
 
 
交流サイトで被害の18歳未満、最多1652人 警察庁
 インターネットで見知らぬ人と交流できる「コミュニティーサイト」を利用して、昨年事件に巻き込まれた18歳未満の少年・少女は1652人で、前年より231人多く、記録が残る2008年以降で最多だった。有害サイトへのアクセスを制限する「フィルタリング機能」を利用しなかったケースが目立った。警察庁が14日発表した。
 
 被害者の96%は女子。年齢別では、16歳451人▽17歳386人▽15歳315人▽14歳274人――と、14~17歳が86%を占めた。13歳以下は226人で、10歳の少女も4人被害に遭っていた。
 
 サイトへのアクセス手段はスマートフォンが1427人で86%。3年で約9倍になった。フィルタリング機能の利用の有無が確認できた764人のうち、95%は使っていなかったという。
 
 ログイン前の続き事件の罪種別では、淫行などの青少年保護育成条例違反が最多の699人で、裸の写真の撮影など児童ポルノ関連が507人、児童買春が359人だった。
 
 凶悪事件に巻き込まれたケースもあった。横浜市では昨年9月、無職の男(36)がコミュニティーサイトで知り合った少女(当時16)の首を絞めて窒息死させたとして殺人容疑で逮捕された。このほか、強姦(ごうかん)が19人、略取・誘拐と強制わいせつが各9人、強盗が1人だった。
 
 一方、出会い系サイトを利用して事件の被害にあった少年・少女は前年より59人少ない93人だった。08年の法改正でサイトの運営が届け出制になり、利用者の年齢確認が厳格化されるなどしてから減少傾向だ。(八木拓郎)
 
 
青少年の被害者についての記事だといってしまえばそれまでですが、犯罪対策をするなら加害者についてのデータのほうがたいせつです。とくにこの場合、憎むべき“少女の敵”とでもいうべき犯罪者ですから、なおさらです。

「淫行などの青少年保護育成条例違反が最多の699人で」というのも不思議な文章です。加害者であるおとなのことが書かれていないので、被害者である少年少女が悪いことをしたみたいです。
 
それからこの記事は、「昨年事件に巻き込まれた18歳未満の少年・少女」「凶悪事件に巻き込まれたケース」というように「事件に巻き込まれた」という言葉づかいをしていますが、これは日本語として間違っています。
「アメリカの戦争に巻き込まれる」とか「暴力団同士の抗争に巻き込まれる」というように、向こうに加害の意図がないのにこちらが被害にあってしまうときに「巻き込まれる」という言葉を使います。
この記事の場合、明らかに加害者は少年・少女を狙って犯罪をしているのです。とくに「首を絞めて窒息死させた」とか「強姦」といった事件にまで「巻き込まれた」という言葉を使うのは犯罪的ですらあります。
昔、幼女に対する性犯罪を“いたずら”と表現していましたが、それに近いものがあります。
 
どうしてこのようになるのでしょうか。
それは、淫行の犯人が中年オヤジであると単純化していえば、警察もマスコミも中年オヤジが支配しているので、中年オヤジ同士がかばい合うからです。
そのため淫行条例をつくっても、犯人追及はそっちのけで、少女に対する補導にばかり力が入ってしまいます。
 
東京都では淫行条例をつくってから、ガングロやルーズソックスやブルセラなどで話題を提供していたコギャルが一掃され、日本はますます元気がなくなりました。
長野県も、淫行条例をつくってもろくなことはないと思われます。