オバマ大統領は5月27日、広島を訪れ、原爆資料館を視察したのち、17分間のスピーチをしました。謝罪の言葉はありませんでしたが、オバマ大統領ならではのよいスピーチだったと思います。
しかし、核廃絶への具体策があるわけではなく、言葉だけという印象は否めません。
 
オバマ大統領はアメリカの歴史においてきわめてすぐれた大統領だと思いますが、アメリカを大きく変えることはできません。
 
 
ところで、サミットが始まる少し前から、テロ警戒のために東京の街のいたるところに警官の姿を見かけます。ただ、警官は立ったり、歩いたりしているだけです。これは「見せる警備」というのだそうです。警官の姿を見せることがテロの抑止力になるということですが、本気のテロリストには通用するわけがなく、ほとんど気休めでしょう。
 
核廃絶もだいじですが、それよりもテロ廃絶のほうが現実的な課題です。

今回のサミットでも、一応テロ対策なるものが示されましたが、通り一遍のものです。
そもそもテロの原因は、サミット参加国の偏った価値観にあります。それに気づかないでテロ対策を講じてもうまくいきません。
 
サミットにはどんな国が参加しているのでしょうか。
GDP世界第2位の中国と第7位のインドは参加していません(ちなみにサミット参加国のカナダは第10)
なぜ参加できないのかというと、やはりキリスト教国ではないからでしょう。
サミット参加国でキリスト教国でないのは日本だけですが、日本はキリスト教国の価値観に異を唱えない国として認められているからかもしれません。つまり名誉白人みたいなものです。
 
一時ロシアも参加していましたが、クリミア併合が原因で今は排除されています。
ですから、冷戦時代の西側諸国がいまだに排他的に集まっている格好です。
 
サミットはキリスト教国の価値観に染まっているので、必然的に反イスラム主義になります。しかし、これはほとんど自覚されていません。
 
たとえばつい先日、アフガニスタンでタリバンの最高指導者がアメリカの空爆により殺害されました。この殺害がどのようにして行われたかを5月27日の朝日新聞が報じています。
 
 
対立のイランから入国か タリバーン指導者死亡
 
 米軍による空爆でパキスタン国内で死亡したアフガニスタンの反政府勢力タリバーンの最高指導者マンスール幹部は、同じ日にイランから入国していたとみられている。本人はアフガン人だが、パキスタンの旅券を持ち歩いていた疑いも持たれている。
 
 空爆は21日午後3時ごろ、パキスタン西部クエッタとイラン国境を結ぶ国道で起きた。大破した乗用車から見つかった2遺体のうち1体は、現場から約500キロ離れた国境の町タフタンのタクシー運転手と判明した。
 
 マンスール幹部とみられる別の1体について、アジズ外交担当首相顧問は26日、「遺体は本人で、偽の身分証を使って旅行中だった」と確認。イランから入国したとの見方を示した。
 
 タフタンのタクシー会社は朝日新聞の取材に、空爆を受けた車について「入国ゲート前の客引きから連絡があり、客を乗せるため、朝8時半ごろに差し向けた」と証言。マンスール幹部がイランから入国し、タクシーを利用したことを裏付ける。「マンスール幹部はパキスタンでは護衛をつけず、タクシーやバスを使うこともあった」とタリバーン関係者は振り返る。
(後略)
 
 
アメリカ軍はタクシー運転手もいっしょに殺害しています。このタクシー運転手はタリバンの協力者でもなんでもありません。
これはただの殺人です。
もしアメリカ国内で、警察が逃走するテロリストを殺害するためタクシー運転手もいっしょに殺したら、警察のやり方はおおいに批判されるはずです。
 
アフガニスタン人のイスラム教徒は殺してもまったく問題はないとされているわけです(朝日新聞の記事も問題とはしていません)
 
テロをするのはイスラム教徒ばかりですから、よくマスコミが普通のイスラム教徒の「テロリストとイスラム教徒をいっしょにしないでほしい」といった声を紹介します。つまり「テロリスト」と「普通のイスラム教徒」は別だというのです。
しかし、普通のイスラム教徒に「あなたはアメリカの中東政策を支持しますか」と聞けば、ほとんどの人は「反対」と答えるでしょう。
その反対の程度ややり方にいろいろあって、黙っている人、言論でやる人、テロでやる人がいるということです。テロリストは決して特別な存在ではありません。
 
サミット参加国の傲慢な反イスラム主義がテロの原因なのですから、それを認識することがテロ対策の第一歩です。
その認識がないと、「見せる警備」などという対策にもならない対策でお茶をにごすことになってしまいます。