参院選について、対中国政策がまったく論じられていないのはおかしいという指摘があって、なるほどと思いました。
日中間には、中国公船が尖閣諸島周辺に侵入を繰り返し、スクランブルした自衛隊機と中国軍機が攻撃動作をしたとかしなかったとか、年中なにか騒ぎが起きています。このままでいいはずがありません。
 
しかし、考えてみると、対中国だけでなく、外交政策そのものが選挙の争点になっていない気がします。
 
各党の外交政策は次のサイトで見られます。
 
政策比較表2016参院選【外交・防衛(沖縄含む)】
 
民進党は「安保法制は白紙撤回」と言っていますが、安保法制の問題は外交問題というより、立憲主義という観点からの国内問題のような感じがします。
 
自民党は尖閣問題にアメリカを引き込むことばかり考えていて、日本が中国にどう対応するかという発想はなさそうです。
 
外交政策がないのは、やはり日本が属国だからでしょうか。
 
日本は民主主義国ですが、属国であることと両立します。
それはイラクとアフガニスタンを見ればわかります。
イラクもアフガンもちゃんと選挙をやって議会をつくり、アフガンでは大統領選挙もやっています。
しかし、両国とも治安はよくなりません。
バクダッドで3日に起きた爆弾テロでは二百人以上が亡くなり、ISが犯行声明を出しました。
アバディ首相はテロ現場を視察に訪れましたが、「帰れ」という罵声とともに、公用車に靴や瓶が投げつけられたということです。政府そのものが信用されていないのでしょう。
 
選挙が行われているとはいえ、ISやタリバンは最初から排除されていますし、アメリカの価値観に合わない勢力が伸長して政権を取りそうになれば、軍事クーデターや暗殺などの方法で排除されるのでしょう。アメリカは南米で何度もそうしたことをしています。
 
イラク軍もアフガン軍もアメリカが訓練し、兵器を提供して育てた軍隊です。
その国の軍を抑えたら、その国を抑えたも同然です。
 
イラク政府もアフガン政府も実質的にアメリカの支配下にあるので、国民は支持せず、それが治安の悪さとして表れています。
 
 
終戦直後の日本政府も今のイラク政府やアフガン政府と同じようなものだったでしょう。そして、そのまま今にいたっています。
今ではアメリカに支配されているという意識すらなくなっています。
 
安倍首相は、憲法をアメリカに押し付けられたとか、日本人は占領軍に洗脳されたとか言いますが、これはあくまで国内向けの発言で、アメリカに対してはなにも言いません。日本は属国であるという現実にうまく対応しています。安保法制や辺野古移設の問題でも同様です。
 
一方、民進党は公約に「日米地位協定の改定」を掲げていますが、属国の立場でそんなことができるとは思えません。
「安保法制は白紙撤回」にしても、それがアメリカと摩擦を起こすことに対する配慮はなさそうです。
安倍首相は「気をつけよう。甘い言葉と民進党」と言っていますが、このことについては的確な批判かもしれません。
 
今回の参院選はもうほとんど結果が見えています。
日本は属国であるという現実に適応している自民党と、その現実が見えていない民進党の差です。
 
もちろん私は日本が属国でいいと思っているのではありません。
そこから脱却するのは容易なことではないと言いたいわけです。