8月3日に発足した第三次安倍再改造内閣で稲田朋美氏が防衛大臣に任命されましたが、稲田氏は毎年終戦記念日に靖国神社に参拝しており、今年も参拝するようだと中韓との関係を悪化させるのではないかと懸念されます――とマスコミは例によって紋切り型の文章を書いています。
 
閣僚や政治家の靖国参拝は、中韓との関係を損なうからいけないのではありません。なによりも政教分離に反する疑いがあるからいけないのです。
そのため一応マスコミも、本人に公人としての参拝か私人としての参拝かを問いただしていますが、公人か私人かというのは微妙な問題で、ごまかすことも可能です。
 
それよりも私が思うのは、マスコミはどうして「英霊を信じているのですか」と聞かないのだろうということです。
 
靖国に参拝していながら「英霊を信じない」と言う人はいないでしょう。
たぶん「英霊を信じている」と言うはずです。
これ自体は信仰の自由ですから、批判はされません。
 
しかし、政治家が「英霊を信じている」と言うと、一般の人はかなりおかしいと思うのではないでしょうか。
 
英霊というのは、全知全能の神や八百万の神とは違って、戦死したというだけの普通の個人の霊です。
戦死者の遺族が信じたくなるのはわかりますし、靖国神社をちゃんと信仰している人もいるでしょうが、私などから見ると、「英霊を信じている」というのは、「幽霊を信じている」とか「心霊現象を信じている」というのに近いものがあります。
 
政治家が「英霊を信じている」と言ったとき、一般の人がどういう反応をするか見てみたいものです。
 
なお、個人としては信仰の自由がありますが、信仰と政治家の職務が反する場合もあります。
たとえばクエーカー教徒は非暴力主義ですから、クエーカー教徒の防衛大臣というのはありえないでしょう。
逆に、英霊を信じている人が防衛大臣になると、戦死者が出ることをあまり気にしないので、これもありえないはずです。
 
そういう意味でも、稲田防衛相がもし靖国参拝をしたら、マスコミは「英霊を信じているのですか」とか「靖国神社を信仰しているのですか」と質問してほしいと思います(ただ、すでにアメリカの副報道官が稲田防衛相の靖国参拝をけん制する発言をしているので、たぶん参拝はないでしょう)。