“フィリピンのトランプ”といわれるロドリゴ・ドゥテルテ大統領が絶好調です。今年6月30日にフィリピン大統領に就任し、7月21日の調査では大統領の信任率が91%に達したということです。
「半年以内に麻薬と犯罪を撲滅する」という公約が達成されつつあることが評価されているようです。しかし、そのやり方が問題です。
 
 
比大統領「人権は気にしない」、麻薬犯罪者の射殺命令継続を明言
 
86 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領(71)が、現職中は麻薬犯罪者の射殺命令を撤回しないと明言し、「人権は気にしない」と述べていることが分かった。
 
 社会から麻薬と犯罪を撲滅するという公約を掲げ、そのためならば何万人でも犯罪者を殺害すると宣言したドゥテルテ氏の動向を追っている地元メディアによれば、今年5月の大統領選で同氏が圧勝して以降、麻薬密売容疑などで殺害された人数は約800人に上るという。
 
 ドゥテルテ大統領は自身の出身地、南部ダバオ(Davao)での記者会見で、「任期の終わりまで私が生きていたとしたら、最後の日まで、射殺命令は継続される」と述べた。
(後略)
 
 
要するに犯罪者をどんどん射殺していくというやり方です。ですから、ドゥテルテ大統領は“フィリピンのダーティハリー”とも“ドゥテルテハリー”とも呼ばれています。
殺されることを恐れてみずから出頭する犯罪者も多くなって、刑務所は超過密状態だということです。
 
犯罪にきびしく対処しろということは、アメリカのトランプ氏も言っていますし、日本でもワイドショーなどの基本的な論調です。ネットではそれ以上です。
 
しかし、犯罪にきびしく対処することで犯罪がなくせるなら、人類はとっくの昔に犯罪を克服しているはずです。
犯罪をなくすことは一時的には可能です。フィリピン国民もそこを見て大統領を支持しているのでしょう。
しかし、このやり方では警察が犯罪組織化します。
警察が犯罪組織化すると、それを取り締まる組織がないだけにやっかいです。
フィリピン国民もいずれその事態に直面して、ドゥテルテ大統領を支持したことを後悔するはずです。
 
警察が犯罪組織化する前に、ドゥテルテ大統領が独裁化するかもしれません。
いや、もうすでに独裁化しているようです。
 
 
フィリピン大統領、「麻薬に関与」の政治家ら160人以上を名指し
(前略)
 ドゥテルテ大統領は7日の夜明け前に行った演説で「私が話すことに適正手続きなど関係ない。そんな手続きはないし、弁護士もない」と述べた後、麻薬との関与が疑われる人物として判事9人、元議員や現職議員、市長など自治体長50人以上、さらに現職および退職した警察官や兵士の名前を挙げた。その上で、こうした高官らの護衛の引き揚げを命じ、彼らの武器所持許可を取り消し、制裁を受けることになるだろうと警告した。
(後略)
 
 
ドゥテルテ大統領のやり方が法的に問題にならないのはどうしてかと不思議に思っていましたが、判事も殺すと脅していたからかもしれません。
 
また、現職議員も名前を挙げて犯罪者呼ばわりしています。
これでは、自分の政敵はみんな抹殺していくことができます。
 
こうしたことが国民の支持を得ているのは、国民が犯罪者は「あちら側」の人間で、警察や大統領は「こちら側」の人間と認識しているからではないかと思われます。
しかし、実際のところは「あちら側」の人間も「こちら側」の人間も同じ人間です。
民主主義国の主権者は正しい人間観を持たないといけません。