高畑裕太氏が逮捕された件は、検察が起訴猶予などではなく不起訴処分にしたことで完全に終わったわけですが、いまだにマスコミやネットでは高畑氏を批判する声が絶えません。今までさんざん批判してきた手前、急には切り替えられないからでしょう。
 
しかし、批判してきた人たちは高畑氏に謝罪しなければならない立場です。推定無罪の原則を無視して高畑氏を有罪扱いしてきたからです。
これは弁護士の郷原信郎氏も批判しておられます。
 
「推定無罪」を無視した高畑裕太氏事件を巡る報道・放送
 
 
ともかく、不起訴になってちょっと冷静になれたところで、「親の責任」について改めて考えてみたいと思います。
 
高畑氏が有罪と見なされていたときは、「子どもが20歳すぎれば親に責任はない」という意見が優勢でしたが、不起訴・釈放となったとたんに高畑淳子さんへの批判の声が上がっているのもおもしろい現象です。高畑氏の入院先が豪華すぎるということまで批判されています。
 
「甘やかしているのがよくない。もっと叱るべきだ」という意見もよくありました。こういう意見の人は、叱らなかったという「親の責任」を認めているはずですが、そういう自覚はあるのでしょうか。
 
それに、親が叱っていないという認識は正しいでしょうか。逆に母親の淳子さんが叱りすぎていたことを示唆する記事をふたつ紹介します。
 
 
以前、徹子の部屋に高畑淳子さんと姉のこと美さんが出演した際、
裕太さんは、母親から見て『固いお勤めは無理で、芸能界でないと
 働けないのかな』と思っている事、
そして、裕太さんの反抗期が、高畑淳子さんの更年期とかぶってしまい、
 当時はお互いに怒鳴り合っているのが外からでも分かるくらいだったそう。
(参考文献:徹子の部屋※TVでた蔵)
 
当時、裕太さんは中学生。
「家の中では罵声が飛び交い、お互いの仲も泥沼に落ちていった。」
「その日々を見ていた、姉のこと美さんも辛かったと思います。」
と高畑裕太さんブログ、淳子さんのブログには記載されています。
http://話題・.com/takahata_yuta.html
 
 
 
だが、子育ては順調ではなかった。2016826日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)では、高畑容疑者が中学時代に生活が荒れ、部屋からは母と子の怒鳴り合いが聞こえた過去や、全寮制の高校に進学したことに関して、淳子さんが「邪魔だったから出したみたいな感じがちょっとあって、すごく罪悪感みたいなのがあった」と振り返っていた。
 
 
記者会見のときも淳子さんは、裕太氏の子ども時代について、「規則をちゃんと守れないところ」「学校時代の遅刻」「うちへの帰宅時間」「学校の授業態度」について悩んでいたことを表明しています。
そして、高校は全寮制のところに行かせたわけですから、甘やかしていたとか、溺愛していたのとは逆です。むしろきびしすぎた、叱りすぎたというべきでしょう。
もし裕太氏が強姦などの犯罪をしていたら、淳子さんの叱りすぎに原因がある可能性があって、責任が問われたところです。
 
なぜ淳子さんは叱りすぎたのかというと、裕太氏はかなり個性の強い子どもだったのでししょう。
裕太氏は発達障害だったという説があります。そうかもしれませんが、そのことと犯罪は無関係です。
しかし、親が個性の強い子を受け入れることができず、叱って矯正しようとすると、人格がゆがんでしまい、そのために犯罪に走るということがありえます。
 
そもそも個性や発達障害は生まれつきのものですから、どうやっても矯正することはできません。
親のするべきことは、生まれつきの性質を全部受け入れることだけです。
淳子さんは「この子は将来大物になる」ぐらいに思っていればよかったのです。
というか、親バカという言葉があるように、本来親というのはそういうものです。
 
個性の強い子は社会に適応するときに苦労するかもしれませんが、それは本人が対処するべきことです。
このように考えれば「親の責任」はないことになります。
 
しかし、今は親が子どもをよくしようと一生懸命教育しています。その結果、子どもが悪くなったら、それは「親の責任」ということになります。当然のことです。


なお、裕太氏が芸能界に入って活躍するようになったのは淳子さんの引き立てがあったからで、そこだけ見ると甘やかしていることになります。それゆえ、世間の人もこの親子にきびしいのでしょう。
しかし、親の間違った教育でだめになりそうだった子どもが芸能界で自分の生きる道を見出したと考えると、私自身は応援したい気持ちになります。