安倍首相は衆院本会議の所信表明演説で「現場では夜を徹して、そして、いまこの瞬間も海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務に当たっています」「その彼らに対し、いまこの場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」と呼びかけ、自民党議員が一斉に立ち上がって拍手するというシーンがあり、「北朝鮮みたいだ」と批判されています。

安倍首相の呼びかけは、南スーダンで「駆けつけ警護」が実施され、自衛隊員の“戦死者”が出ることに備えているのだという見方があります。
きっとそのときには、国を挙げて“戦死者”を称えようというのでしょう。
 
安倍政権の掲げる「切れ目のない安全保障法制」というのが着々と整えられつつあるようです。日米の物資融通協定が改定されたというニュースがありました。
 
米軍へ「後方支援」拡充 日米が物資融通協定改定 安保法施行受け
 
 
安倍政権は日米地位協定を改定するべきだという声は無視して、代わりにこんなことをしていたのでした。
どういう改定かを示す部分を引用します。
 
 
日本側が主に想定しているのは「燃料を求められるケース」(外務省幹部)。政府が国際平和共同対処事態や重要影響事態と認定すれば、テロとの戦いで中東に展開する米艦船や発進準備中の爆撃機への給油が可能となる。これまでは特別措置法で対応してきたが、今回の改定により、国会での法整備を経ず、世界各地の米軍に給油を行えるようになる。
 
 弾薬提供の範囲も大幅に拡充される。旧ACSAでは自衛隊から米軍への弾薬提供は、日本が相手国から直接武力攻撃を受けた「武力攻撃事態」と、攻撃が予測される「武力攻撃予測事態」に限られていた。
 
 
こうして自衛隊と米軍が「切れ目のない」状態で一体化していくわけです。
 
自衛隊員が中東で米軍に給油中に死ぬかもしれません。そうすると、それはアメリカのために死んだことになります。
 
ただ、安倍政権としては、日本がアメリカに協力することでアメリカがより日本を守ってくれるという考え方で、それが確かなら、自衛隊員は間接的に日本を守るために死んだという理屈が成り立たなくはありません。
 
しかし、アメリカは日本が切れ目のない安保法制をつくってアメリカに協力したからといって、なにか見返りを約束しているわけではありません。
安倍政権は、アメリカから要求されてやっているのに、日本が自発的にやっているようにごまかしているので、肝心のところがあいまいになっています。
 
 
また、つい先日、自衛隊が購入する新鋭戦闘機F35が初公開されたというニュースがありました。
 
 
最新鋭ステルス機「F35」の1号機が初公開 空自に18年配備予定
 
航空自衛隊に配備される最新鋭ステルス戦闘機F35の1号機が23日、テキサス州フォートワースのロッキード・マーチン社の工場で初公開された。F35は他の航空機や艦船と情報共有できる能力が従来機と比べ飛躍的に向上しており、日米一体で防衛力の強化を狙う。
(後略)
 
 
これはもう兵器そのものが「切れ目のない」ものになっているわけです。
なお、こういうアメリカ製のハイテク兵器でアメリカ軍と戦うことはできません。アメリカ軍がなにかの電波を出すだけで兵器を無力化することができるに決まっているからです。
 
このような自衛隊とアメリカ軍の一体化は、自衛隊の本来の役割に反します。
自衛隊員のする「宣誓」には、「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し」とあります。平和からも独立からも遠ざかっていく今の自衛隊の状態は、自衛隊員にも納得いかないでしょう。
もちろん国民にも納得がいきません。日本人の税金でつくってきた自衛隊がアメリカのために働くのは日本人への裏切りです。
 
蓮舫民進党代表の「二重国籍」問題が一部で騒がれましたが、いつのまにか自衛隊が「二重国籍」状態になっているわけです。