稲田朋美防衛相は、過去の核武装容認発言と今の考えとの違いを追及されてしどろもどろになり、蓮舫民進党代表に「気持ちいいぐらいの変節ですね」と決めつけられました。
その前には、海外出張を理由に全国戦没者追悼式を欠席したことを辻元議員に追及され、涙ぐむという場面がありました。
 
これは稲田防衛相の個人的な問題だけではなく、右翼政治家の宿命みたいなものです。
つまり一政治家としては言いたいことを言っていても、アメリカからその発言が注目される立場になると、アメリカの意向に反することは言えなくなるのです。
 
これは安倍首相も同じです。右翼的主張を封印してアメリカに迎合することで政権の長期化をはかってきました。
 
 
ところで、稲田防衛相が全国戦没者追悼式を欠席したのはジブチの自衛隊基地を訪問するためでした。終戦記念日に靖国神社に参拝するとアメリカに怒られるし、参拝しないと国内の右翼勢力に怒られるので、海外出張でごまかそうとしたわけです。
 
ジブチには自衛隊唯一の海外基地があります。この基地をつくったときにすでに日本は専守防衛を捨てていたわけです。
もっとも、ジブチに基地をつくったのはソマリア沖の海賊対策のためという名目です。
海賊対策というと、軍事というより警察行為というイメージがあります。
 
それにしても、海賊対策のために基地までつくる必要があるのでしょうか。
外務省のデータによると、ソマリア沖の海賊事件はへり続け、2011年に237件あったのが、2015年には0件になっています。
 
しかし、これは各国の海賊対策が功を奏しているためだから、海賊対策をやめるわけにはいかないという理屈のようです。
 
ジブチにはアメリカ軍の基地もあります。「日経ビジネスオンライン」の「ジブチに集う欧米と日本の自衛隊」という記事から引用します。
 
 
 レモニエ基地はアメリカにとって、アフリカにおける唯一の軍事基地だ。面積は500エーカー(約202ヘクタール)。ジブチにある自衛隊の拠点の20倍弱に及ぶ。その威容は、ジブチのアンブリ国際空港に立つと分かる。3500メートルの滑走路を持つ同空港施設の片側1面がすべて米軍基地なのだ。
 
 実は、この基地の活動目的は海賊対処ではない。海賊対処はバーレーンに拠点を置く米中央軍が管轄している。レモニエ基地が担っているのはアフリカの角地域を安定化させる任務だ。主に、テロリスト攻撃作戦、各国軍のキャパシティビルディング支援、そして民生支援活動を行っている。
 
 
なお、ジブチには旧宗主国のフランスも基地を持っています。
さらに、今年に入って中国も基地建設を始めました。これは中国にとって初めての海外基地です(ジブチは基地ビジネスで稼いでいるようです)
 
ともかく、自衛隊の基地は海賊対策のためだけとは思えません。むしろアメリカ軍の助けをするための基地ではないかと思われます。
要するに「思いやり予算」の海外版で、予算のほかに人員も出しているということです。
 
民進党にはここも追及してもらいたいところですが、実はジブチに自衛隊基地をつくると決めたのは2011年で、菅政権のときです。ですから、ジブチの自衛隊基地は与野党の争点になりません(共産党は別です)
そのため、日本の唯一の海外基地にもかかわらず、その存在を知らない人も多いのではないでしょうか。
 
それにしても、ジブチに派遣された自衛隊員はつらいところです。
この任務は、国を守るためではないし、海賊対策の意味もなくなって、やっぱりアメリカのためかと思っているでしょう。
 
稲田防衛相はジブチを視察してなにを感じたのでしょうか――と言いたいところですが、なにを感じようと、アメリカに追随していくのが安倍政権の進む道です。