トランプ氏は反グローバリズム、反TPPを主張しています。
グローバリズムもTPPもむしろアメリカの利益になるはずで、トランプ氏がそういう主張をするのが不思議でした。
 
また、トランプ氏はアメリカ・ファーストというスローガンを掲げています。
そうすると、たとえば日本がジャパン・ファーストを掲げると、トランプ氏はどう反応するのかということが疑問でした。
 
安倍首相は17日にニューヨークでトランプ氏と会談することになりました。
安倍首相が「私もあなたと同様にジャパン・ファーストでやっていく」と語れば、安倍首相はトランプ氏と意気投合し、互いの健闘をたたえ合うということになるのでしょうか。
 
その答えは、トランプ氏本人が9日の勝利宣言の中で言っていました。
 
トランプ新大統領が勝利宣言「私は全てのアメリカ人の大統領になる」(演説詳細)
 
その演説の中から、アメリカと他国の関係について語っている2か所を引用します。
 
 
私たちには素晴らしい経済プランがあります。国の成長を倍増させます。世界で最も強い経済を作り出していきます。また、私たちと「良好な関係を築きたい」という国とは、うまく付き合っていきます。素晴らしい関係を築けることを期待しています。
 
 
そして、世界に向けて宣言します。私たちは、常にアメリカの利益を最優先しますが、全ての人・国に公正に対応します。紛争や対立ではなく、この機会にパートナーシップを。共通認識を探っていきます。
 
 
アメリカと他国は対等だとは言っていません。他国に公正に対応すると言っています。
アメリカは偉大な国として君臨し、従う国は公正に扱ってやるということです。
 
トランプ氏が目指しているのは「朝貢貿易」です。
 
TPPはアメリカも含めた各国が共通のルールに従おうというものですから(例外は山ほどありますが)、トランプ氏がやろうとしないのは当然です。
 
トランプ氏は、カナダ、メキシコが再交渉に応じないならNAFTA(北米自由貿易協定)を離脱すると主張してきましたが、トランプ氏の当選を受けてカナダ、メキシコは再交渉に応じると表明しました。トランプ氏はアメリカに都合のよいものに変えるつもりでしょう。
 
次は日本の番です。トランプ氏が目指す「朝貢貿易」を受け入れることが求められます(だから安倍首相はトランプ氏のもとに飛んでいくわけです)
 
ロシアのように最初からアメリカに朝貢する気がない国は、気楽にトランプ氏の当選を喜んでいます。
中国はこれからどう対処するのか見ものです。
 
 
それにしても、トランプ氏が他国を公正に扱ってやると公言していることがまったく問題にされないのはどうしてでしょうか。
国際政治はある程度力によって動くので、弱い国は強い国のむりな要求を受け入れなければならないこともあります。しかし、それを屈辱と感じる感性がないのではお話になりません。