各国はトランプ氏とどうつきあっていくか悩んでいるようですが、プーチン大統領は明快なスタンスを持っています。
プーチン大統領がトランプ氏と電話会談をしたというニュースを見ても、そのことがわかります。
 
 
米ロ関係、改善へ一致 トランプ氏とプーチン氏、電話会談
 
 ロシアのプーチン大統領は14日、米大統領選で勝利したトランプ氏と電話で会談した。
(中略)
ロシア側は電話についてどちらからかけたかを明らかにせず、「双方の合意に基づいて実現した」と説明している。
 プーチン氏はトランプ氏に「平等、互いの尊重、相手国の内政への不干渉という原則」を基盤に新しい米国の指導部と対話をする用意があると表明した。
(後略)
 
 
プーチン大統領は「平等」という言葉を使って釘を刺しています。
もっとも、トランプ氏がそれに同意したかどうかはわかりません。
いや、たぶん同意はしていないでしょう。
 
前回の『「朝貢貿易」を求めるトランプ氏』という記事でも書いたことですが、トランプ氏が勝利宣言で言ったことをもう一度引用しておきます。
 
 
そして、世界に向けて宣言します。私たちは、常にアメリカの利益を最優先しますが、全ての人・国に公正に対応します。
 
 
これは、アメリカは世界に君臨すると言っているのと同じです。
もし中国の習近平国家主席が「私たちは、常に中国の利益を最優先しますが、全ての人・国に公正に対応します」と言ったら、日本人は「傲慢だ」と言って怒るはずです。
 
プーチン大統領は「平等」という言葉を使って、トランプ氏をけん制したわけです。

 
国際政治においては平等などありえず、大国や強国が勝手な振る舞いをするのだという考え方もあるでしょう。
そうすると、日本は大国アメリカとの関係で、不平等条約を押し付けられるなど、なんらかの不利益をこうむっているはずです。
どのように不平等で、どういう不利益をこうむっているのかということを明らかにするのは国際政治学の役割です。しかし、そのようなことを言う国際政治学者を見たことがありません。
 
どうしてそうなのかということを「永続敗戦論」で注目された白井聡氏が「戦後政治を終わらせる」という本で書いていました。その部分を引用します。
 
 
学問の世界から一例を挙げると、国際政治学という学問があります。国際政治学者が書いた本を書店で手に取ると、われわれプロは、目次より何よりまず著者の学歴経歴を見ます。翻訳書の場合は訳者の学歴経歴です。学歴経歴を見るだけで、その本に書いてある内容の八割九割はわかってしまう。どうしてか。まず国際関係論とか国際政治学を専攻している学者の多くがアメリカ関係の研究をやっています。日米関係やアメリカ外交ですね。戦後の日米関係の重要性に鑑みれば、国際政治学の専門家の多くがアメリカに関する研究をすること自体は不自然ではありません。
問題は、この人たちがどのような教育を受け、どのようにキャリア形成をするかということです。その人たちの多くは、アメリカに留学をし、場合によってはアメリカで学位を取る。
アメリカにおける国際関係論とはどういう学問なのか。これは「アメリカの国益を最大化するためにはどうするべきかを考える学問である」と明快に定義されています。アメリカ人がそういった学問――これほど政治的目的を前面に出した学問を学問と呼ぶべきなのか微妙ですが――をやるのは勝手ですが、日本人がアメリカに行って、この分野で学位を取り、当地の人脈をつくり、そして帰国後に日本の大学や研究機関で職を得て、講義や教育、あるいは政府の政策に助言をしたりする。そのことの意味を、よく考える必要があります。
なぜわれわれが、国際政治学者の本を見るとき、学歴経歴から見るのか、察しがつくでしょう。何年アメリカで学んだのか、そこで学位は取ったのか、帰国後の就職活動で苦労しているか――こうした点を見れば、本の内容はおおよそ推測できます。つまりある国際政治学者のアメリカ滞在歴が長く、帰国後あっという間に良いポストに就職しているというような場合、その著者の主張は、「日米同盟は永遠に続くべきである」というものであると、見当がつくのです。そのような結論ありきで書かれた書物に、当然知的緊張はありません。
(白井聡著「戦後政治を終わらせる」103105ページ)
 
 
日本人が「アメリカの国益を最大化するためにはどうするべきかを考える学問」を学んでいるのも妙なものですが、それを「日本の国益を最大化するためにはどうするべきかを考える学問」に転換させればいいわけです。しかし、転換させなければ、ただの売国学者です。
そして、どうやら日本には売国学者がいっぱいいるようです。
 
政治学というのはろくでもない学問だと前から思っていましたが、白井聡氏の本を読んでそのことを改めて認識しました。