トランプ次期米大統領は国防長官に「狂犬」の異名を取る海兵隊出身のジェームズ・マティス氏を指名しましたが、その発表の仕方がいかにもトランプ流でした。
 
 
軍出身者、相次ぎ要職に 国防長官、マティス氏
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 「ほかの人に言ってはダメだ。会場の中だけの秘密にしてほしい」。トランプ氏は1日、大統領選の勝利宣言以来初めてとなるオハイオ州での集会で、もったいつけた上で「国防長官に指名するのは、マッドドッグ(狂犬)・マティスだ」と叫んだ。大歓声に包まれ、まるでプロレスの選手紹介のようだ。
 これまでの人事は、ネット上で短い声明とともに発表していたが、今回は大規模集会の場だった。トランプ氏はマティス氏を、第2次世界大戦中に対ドイツ戦線で活躍した猛将パットン氏に重ね合わせ、「現代のパットン大将」と評した。さらに「私は軍人経験者が好きだ」とも語った。
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トランプ氏は大衆の喝采を浴びるのが好きで、戦うことが好きなようです。
 
トランプ氏は大統領選においても、共和党の対立候補を次々と文字通り罵倒して打ち負かし、最後はクリントン氏も打ち負かしました。普通の人は戦い続けるとうんざりしてくるものですが、トランプ氏はそれが生きがいになって、逆にやめられないのではないかと思われます。
 
橘玲著「言ってはいけない残酷すぎる真実」という本は、差別主義的な部分があるので注意しないといけませんが、ためになることも書かれています。
たとえば、生まれつき安静時心拍数の少ない人がいるということです。そういう人は恐怖を感じることが少ないので、普通の生活をしていると刺激が少なくて物足りません。
爆発物処理の専門家には安静時心拍数の少ない人が多く、恐怖をあまり感じないという性質を生かして社会に貢献していることになります。冒険家、投資家、起業家などにもそういう人が多いと想像されます。また、犯罪者にもいます。普通の生活では物足りないので、刺激を求めて犯罪に走ってしまうわけです。
 
映画「ハートロッカー」(キャスリン・ビグロー監督)の主人公は、イラクで爆発物処理をする米兵ですが、アメリカに帰還し、平凡な生活に戻ると、その平凡さが耐えられなくなって、またイラクに戻っていきます。恐怖なしでは生きられないという人間の姿を描いています。
 
私などは人よりも恐怖心が強く、また人とトラブルになるのもいやなので、トラブルが起こりそうになると、多少損をしてもいいので自分が譲歩してしまいます。
 
トランプ氏は私の正反対の性格です。
トランプ氏は4回破産を経験しています。ぎりぎりまで投資するので破産もするわけです。そういう崖っぷちに立つことが生きがいになっているのでしょう。
破産すると、債権者と面倒な交渉をしなければなりませんが、それもトランプ氏には生きがいなのでしょう。そうでなければ4回も破産しません。
 
トランプ氏は交渉が好きです。TPPを離脱して二国間交渉をすると言っています。この交渉は友好的なものではなく、力で相手をねじ伏せることで、戦いと同じです。
 
トランプ氏は国内企業とも交渉しています。
米エアコン製造大手のキャリア社は1130日、インディアナ州にある工場を海外移転しないことでトランプ氏と合意したと発表しました。これで約千人の雇用が守られたということです。
トランプ氏は政権人事をしながら、こんな交渉もしていたのです。
 
個別企業と交渉するというやり方でほんとうに雇用が守られるのか疑問ですし、そもそも資本主義的ではありません。交渉好きのトランプ氏の趣味でしょう。
 
また、トランプ氏の政権移行チームは12月2日、トランプ氏が台湾の蔡英文総統と電話協議したと発表しました。米中国交正常化以来、米大統領や米次期大統領が台湾の総統と接触したと発表されるのは初めてです。案の定、中国外務省はトランプ氏に抗議しました。
 
トランプ氏に対中関係と対台湾関係になにか戦略があるとは思えません。要はトラブルを起こして、それを楽しんでいるのでしょう。
 
トランプ政権の主要人事は、現時点で国務長官以外はほぼ決まりました。人種差別主義者と反イスラム主義者が顔をそろえています。
 
世界は、史上最悪の米大統領に備えなければなりません。