12月の初め、たまたま通りがかったある駅前広場でイルミネーションの点灯式をやっていて、地元の高校のブラスバンド部が演奏していました。
2人の女子高生が漫才のようなかけ合いで曲紹介をやるのがいかにも今風です。
夜空にちなんだ曲ということで「アクエリアス」が紹介され、その演奏を聴いていると、これは確か反戦歌だったなと思いました。

「アクエリアス」は1960年代のブロードウェイミュージカル「ヘアー」の代表曲です。歌詞に反戦的なものはあまり感じられませんが、「ヘアー」が反戦的なミュージカルですから、反戦歌といっても間違いではないでしょう。
当時、ベトナム戦争は多いときで50万人以上の米兵が送り込まれて、アメリカの若者にとっては大ごとでしたから、さまざまな文化にベトナム戦争の影響がありました。
 
あれから50年がたって、今では単に星座の歌とされても当然です。
しかし、「アクエリアス」を聴いているうちに、これからもまた反戦歌の時代が巡ってくるだろうなと思いました。
アメリカはテロ戦争をしていて、これからトランプ政権によって戦争激化は必至です。
 
 
反戦歌といえば、ボブ・ディランの「風に吹かれて」が有名です。
ボブ・ディランは今年ノーベル文学賞を受賞しましたが、ノーベル平和賞はコロンビアのサントス大統領が受賞しています。
サントス大統領は、左翼ゲリラのコロンビア革命軍との停戦合意を実現し、50年近く続いた内戦を終わらせた功績が評価されました。
 
サントス大統領は受賞式のスピーチで、ボブ・ディランの「風に吹かれて」の歌詞「どのくらいの人が死んだら、多くの人が死んだと気付くのだろうか。友よ、答えは風に吹かれている」を引用し、「私たちの美しい大地に多くの苦しみと絶望をもたらした戦争はついに終わった」と宣言しました。
つまり、答えは風に吹かれているのではなく、話し合いにあると言ったわけです。
 
戦争を終わらせるのは、敵との話し合いです。今年のノーベル文学賞とノーベル平和賞を選んだノーベル財団の意図も、それを示すことにあったのでしょう。
 
ベトナム戦争においても、アメリカは1969年からキッシンジャー大統領補佐官が北ベトナムと交渉を始め、1973年にパリ和平協定を成立させました。結局、戦争を話し合いで終わらせたのです(キッシンジャー氏はこの功績でノーベル平和賞受賞)
 
アメリカはテロ戦争を15年やって、まったく勝利の展望もないのに、いまだに話し合いをしようとしません。
テロ組織は明確な実体のないものが多いのですが、ISやタリバンはちゃんとした組織があるので、アメリカはその気になればいつでも話し合えます。
アメリカは「テロリストと話し合いをしない」という意味不明の方針を堅持しています。
 
アメリカはオサマ・ビン・ラディンの住居を襲撃したときも、捕らえるのではなく殺害しました。アルカイダやISの幹部も多数が殺害されていますが、捕らえて裁判にかけるという例はありません。
日本やドイツについて東京裁判やニュルンベルク裁判をやったのとは違います。
裁判でテロリストが主張することを恐れているとしか思えません。
 
アメリカが方針を変えて話し合い路線に転じれば、テロ戦争の終結は可能です。
というか、アメリカが軍事力や警察力でテロ戦争に勝利できるとは思えないので、それしか方法がないはずです。
 
話し合いで戦争を終わらせられるというノーベル財団とサントス大統領のメッセージは明快です。
問題はアメリカがそれを聞く耳を持たないため、相変わらず答えは風に吹かれているということです。