アメリカのフォード・モーターは1月3日、メキシコに新工場を建設する計画を撤回すると発表しました。トランプ次期米大統領に脅されての屈服です。
トランプ氏は工場の海外移転を計画する企業を次々と名指しで攻撃し、計画撤回に追い込んでいます。
アメリカ経済は「見えざる手」ではなく「トランプの手」によって動かされているようです。
こんなやり方でアメリカ経済がよくなるはずがありません。
トランプ氏はテレビ番組で「お前はクビだ」という決め台詞を言っていたのと同じ感覚で、要するに自分が喝采を浴びたいのでしょう。
 
トランプ氏はトヨタにも矛先を向けてきて、5日、メキシコでの工場建設計画を撤回しなければ重い輸入税を課すと脅しました。
これに対しトヨタは「メキシコで新工場ができることによって、米国における生産台数や雇用が減ることはない」との声明を発表しましたが、これはアメリカにだけ配慮した声明で、国際企業としてふさわしくありません。
 
トヨタは「メキシコの新工場はメキシコの雇用に貢献する」と言えばいいのです。
あと、「メキシコ人のほうがアメリカ人より安い給料でよく働くので、アメリカの消費者にも貢献できる」と言ってもいいのですが、さすがにこれは角が立ちそうです。
 
ともかく、トヨタがトランプ氏の差別主義的な主張に従ったら、トヨタはメキシコ人を差別することになり、差別主義的な企業と見なされることになります。
 
トランプ氏の選挙のスローガンは「アメリカファースト」です。
これは要するに「アメリカさえよければいい」ということで、アメリカ国内でしか通用しない理屈です。
「自分さえよければいい」という人間が世の中で嫌われるのと同じです。
そのことをトランプ氏とアメリカ国民にわからせるためにも、トヨタは正しく対応することがたいせつです。
 
 
それを思うと、安倍首相がトランプ氏当選直後にニューヨークに会いにいって、「信頼できる指導者だと確信した」などと言いましたが、これもトランプ氏とアメリカ国民を勘違いさせます。
安倍首相は「私の信念はジャパンファーストだ。これからトランプ氏とやり合うのが楽しみだ」とでも言うべきでした。
もちろん「アメリカさえよければいい」という考えは国際社会では通用しないぞという意味です。
安倍首相はトランプ氏より圧倒的に政治的キャリアがあるのですから、上から目線で教えてもおかしくありません。
もっとも、アメリカに尻尾を振ることしか考えない安倍首相にはむりなことですが。