国有地不正払下げ疑惑の森友学園傘下の塚本幼稚園では、園児に教育勅語を唱和させています。こうしたことが安倍首相ら右翼政治家を感激させたようです。
 
教育勅語は1948年に国会で失効が決議されています。現在の皇室や天皇陛下が認めるはずもありません。これを持ち出すのは、右翼の好きな“戦前ごっこ”です。
 
とはいえ、教育勅語にもいいところがあるという意見があり、もちろん否定する意見もあります。
ここで改めて教育勅語について考えてみます。
 
議論が集中するのは、次の部分です。
 
爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦󠄁相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博󠄁愛衆ニ及󠄁ホシ學ヲ修メ業ヲ習󠄁ヒ以テ智能ヲ啓󠄁發シ德器ヲ成就シ進󠄁テ公󠄁益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵󠄁ヒ一旦緩󠄁󠄁アレハ義勇󠄁󠄁ニ奉シ以テ天壤無窮󠄁ノ皇運󠄁ヲ扶翼󠄂スヘシ
 
現代語訳はいくつかあり、ここでは明治神宮のサイトから引用します。
 
国民の皆さんは、子は親に孝養を尽くし、兄弟・姉妹は互いに力を合わせて助け合い、夫婦は仲睦まじく解け合い、友人は胸襟を開いて信じ合い、そして自分の言動を慎み、全ての人々に愛の手を差し伸べ、学問を怠らず、職業に専念し、知識を養い、人格を磨き、さらに進んで、社会公共のために貢献し、また、法律や、秩序を守ることは勿論のこと、非常事態の発生の場合は、真心を捧げて、国の平和と安全に奉仕しなければなりません。
 
肯定派は、道徳の基本が述べられていることのどこが悪いのかと主張します。
否定派は、最後の部分の、戦争になれば天皇のために命を捧げろというのはけしからんと主張します。
 
ですから、最後の部分を別にすれば、ほとんどの人はここに書かれていることを肯定していることになります。
これは十二の徳目とも言われています。
 
孝行
友愛
夫婦の和
朋友の信
謙遜
博愛
修業習学
知能啓発
徳器成就
公益世務
遵法
義勇
 
これを全体として否定する意見はあります。「お前に言われたくない」と「今さら言われたくない」です。
しかし、内容を否定する人はまずいません。
 
実際はこの内容そのものに根本的な欠陥があります。
どんな欠陥かわかるでしょうか。
 
それは、いちばん重要な徳目が欠けていることです。
その徳目というのは、「親は子を慈しみ」です。
表現は「親は子を愛し」でも「親は子をよく育て」でもかまいません。
 
親が子を愛し、たいせつに育てるというのは、人の道の根本です。教育勅語にはそれが欠けています。これでは道徳の教えとして欠陥品です。
 
もっとも、それは教育勅語に限らず儒教道徳に共通した問題でもあります。
儒教道徳は、子どもに対して親孝行は説きますが、親に対して子どもを愛せよとは説きません。

現実には子どもを愛さない親もいます。そういうとき儒教道徳は「親、親たらずとも、子、子たれ」と教えます。だめな親でも子どもは親孝行をしろというのです。
むちゃくちゃな理窟です。
 
今の世の中、幼児虐待が大きな問題となっていますが、儒教道徳や教育勅語がそれを生み出してきたともいえます。
 
このような欠陥のある教育勅語は捨て去るのが当然です。