森友学園の運営する塚本幼稚園では、園児が食事中にお茶を飲むことを禁止していて、その理由は昔の海軍がそうしていたからだということです。また、水を飲む時間も決められているそうです。
幼児に水飲みを制限するとはとんでもない話で、幼児虐待とされて当然です。
 
海軍でそうしていたことは初めて知りましたが、陸軍では訓練で水を飲むことをきびしく制限していました。水の補給もままならない状況に体を慣れさせるためです。
 
私が若いころ、学校の運動部では練習中に水を飲むことが許されませんでした。炎天下で練習しているのに水を飲まないのはどう考えても不合理なことで、なぜこんな伝統があるのか不思議でしたが、陸軍がそうだったと知って、腑に落ちました。戦前の学校の運動部が軍隊式を取り入れて、それがずっと続いていたのです。
 
また、私は左利きで、小学校二年生までは左手で字を書いていましたが、三年生の担任が左利きは矯正すべきだという考えの人で、両親も同意して、それから右手で字を書く練習をさせられました。慣れない右手で書くのは苦痛で、しかも無意味に思えましたから、いやな思い出として残っています。
昔は箸を持つのと字を書くことについては、左利きを矯正するのが普通に行われていました。
のちに親戚のおじさんが「陸軍では鉄砲を撃つために左利きはみんな矯正された」と言ったのを聞いて、これも学校が軍隊式を取り入れたのではないかと思いました。
 
日本軍の小銃は、右手でボルトをガチャガチャと操作して弾送りするので、右肩に銃を当てて構えなければなりません。
 
ただ、アメリカのテレビドラマ「コンバット」には、左側に銃を構える兵隊が出てきました(アメリカは自動小銃ですから少し事情が違います)。アメリカのドラマでは左手でペンを持ってサインする人もよく出てきます。
それを見ていると、左利きを矯正する日本の文化がばからしくなります。
 
なお、最近はテレビを見ていると、日本人のタレントで左手で字を書く人は普通にいますし、左手で箸を持つ人も見かけます。ようやく左利き矯正というバカらしい文化も終わってきたようです。
 
運動部で練習中に水飲み禁止というのも、今はないでしょう。
もっとも、だいぶ前から医学やスポーツ科学などから体によくないと言われていましたから、遅すぎた気はします。
教育の影響から脱するのはなかなかたいへんです。
 
 
軍国主義の愚かな教育が続いているのは、教育勅語唱和もそうです。
これは学校ではなくなりましたが、代わって企業において社訓唱和という形で行われています。
学校で教育勅語唱和をさせられた世代が会社で部下にやらせているのです。
 
松下電器(現パナソニック)の松下幸之助氏が代表的存在です。松下電器の社訓には「産業報国の精神」や「礼節謙譲の精神」といった言葉があり、毎日の朝礼で社員は社訓唱和と社歌斉唱をさせられます。
 
 
そして、教育勅語唱和は森友学園で復活し、稲田朋美防衛相の脳内でも復活しています。
 
教育勅語というと、その内容が問題になりますが、言葉を唱和することに意味があるという考え方のほうがもっと問題です。
 
ある言葉を唱和していると、その言葉が現実に影響を与えるというのは、お経や祝詞や呪文などの宗教、さらには「思考は現実化する」というあやしい成功哲学と同じです。
そんなことがありえないのは、「夫婦相和し」と唱えていると夫婦仲がよくなるかどうかを考えればわかります。
 
水飲み禁止や左利き矯正は身体の問題ですから、科学的な認識が広がることで是正されました。
教育勅語の内容は精神の問題なので議論するときりがありませんが、教育勅語唱和という行為は身体の問題ですから、科学や合理主義の光を当てれば消滅させることができます。