森友学園の籠池泰典理事長が「安倍昭恵夫人から100万円の寄付金をもらった」と主張したことに対して、安倍首相は国会答弁で、「密室でのやり取りなど反証できない事柄を並べ立て、事実と反することが述べられたことは誠に遺憾だ」と反論しました。
 
しかし、昭恵夫人はフェイスブックで「私は、講演などの際に、秘書に席を外してほしいというようなことは言いませんし、そのようなことは行いません」と書いています。つまり密室の状況はなかったはずなのです。
ですから、安倍首相は反論するなら、「ずっと秘書が付き添っていて密室の状況はなかったので、当然100万円の授受もなかった。事実と反することが述べられたのは誠に遺憾だ」と言わなければなりません。
安倍首相と昭恵夫人の口裏合わせができていないようです。
 
とはいえ、密室の状況があったのかなかったのか、これが実はむずかしい問題です。
昭恵夫人のフェイスブックにはこう書かれています。
 
 
本日、籠池さんは、平成27年9月5日に塚本幼稚園を訪問した際、私が、秘書に「席を外すように言った」とおっしゃいました。しかしながら、私は、講演などの際に、秘書に席を外してほしいというようなことは言いませんし、そのようなことは行いません。この日も、そのようなことを行っていない旨、秘書2名にも確認しました。
 
 
これは実に微妙な文章です。国語の入試問題で「この日、秘書は席を外さなかったと言えるかどうか答えよ」と出題されたら、そうとう悩むでしょう。一般論として行っていないと述べているだけで、秘書が確認したのも一般論のことかもしれません。
 
前回の「森友学園問題はもっと拡大すると思う理由」という記事で紹介した渡辺輝人氏は、この文章を「霞ヶ関文学の華」と評しています。
 
そのため、安倍首相も世の中も、昭恵夫人の文章よりも籠池氏の証言のほうを信じてしまっているようです。
 
 
昭恵夫人のフェイスブックの文章が発表されたのは、籠池氏の証人喚問のあった日の夜です。すぐに反論したほうがいいという判断でしょう。
そして、その翌日には、自民党が昭恵夫人と籠池諄子夫人のメールを公表しました。
しかし、この連携が取れていません。
 
昭恵夫人のフェイスブックの文章の冒頭には「私は、籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません」と書かれています。
 
しかし、昭恵夫人の籠池夫人宛てのメールにはこう書かれています。
 
2月28日
私は講演の謝礼を頂いた記憶がなく、いただいていたのなら教えて頂けますでしょうか。 申し訳ありません。
 
3月16日
100万円の記憶がないのですが。
 
公表を前提としないメールのほうがほんとうでしょう。
あるいは、記憶のないふりをしている可能性もあります(とくに100万円のほう)
 
いずれにしても、フェイスブックの文章とは矛盾します。
あとで記憶がよみがえったのだと主張するかもしれませんが、それではほとんど証言の価値がありません。
 
自民党や安倍夫妻は、真実に依拠せず、ごまかそうとしているので、やればやるほどごまかそうとしていることがわかってしまいます。