アメリカはシリアのアサド政権が化学兵器を使用したとして4月6日、シリアの空軍基地を59発の巡航ミサイルで攻撃しました。
 
トランプ大統領のやることは支離滅裂です。
これまでトランプ大統領はIS殲滅を目指すと言ってきました。アサド政権を攻撃して政権が弱体化すれば、ISが息を吹き返してしまいます。
そう思ったら、時事通信の記事にこんなことが書かれていました。
 
 これに対して米国防当局者はロイター通信に、アサド政権への攻撃は「一度限り」と強調。あくまで化学兵器使用への「報復」と位置付け、長期的な軍事介入ではないとの認識を示した。ティラーソン氏も、これまでのシリア政策には変更がないと指摘しており、軍事作戦に続いて直ちにアサド氏排除に動くわけでないと示唆した。
 
一回限りの攻撃ではトランプ大統領のパフォーマンスということになってしまいます。
 
トランプ大統領はなにを考えているのでしょうか。トランプ大統領の今回の攻撃についての声明を読んでみました。
 
 
シリア攻撃を命じたトランプ米大統領の声明全文
米国民の皆さん、シリアの独裁者であるアサド大統領は4日、罪のない市民に対し、恐ろしい化学兵器を使用して攻撃を行った。致死率の高い神経ガスを使い、無力な男性や女性、そして子どもたちの命を奪った。
あまりに大勢の人に対する、緩やかで残忍な死を招いた。残酷なことに、美しい赤ちゃんたちもこのような非常に野蛮な攻撃によって殺された。神の子は誰一人としてそのような恐怖に遭ってはならない。
今夜、私は化学兵器を使用した攻撃の拠点となったシリアの飛行場に対し、軍事攻撃を命じた。化学兵器の拡散・使用を阻止し抑止することは、米国にとって不可欠な国家安全保障上の利益の一部である。シリアが禁止されている化学兵器を使用し、化学兵器禁止条約に違反し、国連安全保障理事会の要請を無視したことに議論の余地はない。
アサド政権の行動を変えようとする長年の試みはすべて失敗、それも劇的な失敗に終わった。その結果、難民危機は悪化し続け、地域も不安定化し続けており、米国と同盟諸国に脅威を与えている。
今夜、私はすべての文明国に対し、シリアにおける大量虐殺に終止符を打つため、そしてあらゆる種類のテロを根絶するため、共に手を取ろうと呼びかけた。
非常に困難な世界に直面し、われわれは神の英知を求めている。けがを負った人々が助かるように、また、亡くなった人たちの魂のために祈りをささげよう。そして米国が正義のために立ち上がる限り、最終的に平和と調和が勝利することを祈ろう。
それでは皆さん、神のご加護が米国と全世界にあらんことを。ありがとう。
 
 
気持ちの悪い文章です。
赤ん坊が殺されたことを攻撃の理由に挙げています。
「神」という言葉が3度も出てきます。「正義」という言葉も出てきます。
 
トランプ大統領は「アメリカファースト」ということを言っていて、アメリカさえよければいいという考え方には賛成できませんが、国益という目標があるなら、「保護主義はアメリカ自身の利益になりませんよ」というように議論することが可能です。しかし、神や正義を持ち出されたら、もはや議論はできません。
 
この声明文を読むと、トランプ大統領になにかの戦略があるとは思えません。
要するに「化学兵器を使った悪いアサドを俺がこらしめてやる」ということで、ハリウッド映画のヒーロー気取りと思えます。
 
中には「決断が早い」と称賛する声や、「北朝鮮へのメッセージだ」という声もありますが、いつものツイッターと同じで衝動的な反応でしょう。
 
4月8日の新聞各紙は社説でアメリカのシリア攻撃を取り上げています。私は朝日、読売、毎日、産経、日経、東京の社説を読んでみましたが、トランプ大統領が神や正義を持ち出したことに言及した社説はひとつもありませんでした。
 
新聞社説一覧 (2017/04/08)
 
日本のメディアは、アメリカ大統領が宗教心と正義のヒーロー気取りで衝動的に行動しているという現実を見たくないのでしょう。
 
安倍首相も同じです。
安倍首相は「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米政府の決意を日本政府は支持する」と語りました。「決意を支持」して、「行動を理解」するというように、表現に工夫したそうです。
 
しかし、トランプ大統領は証拠もなしに「オバマ大統領に電話を盗聴された」と言うような愚かで狂信的な人間です。今回のシリア攻撃もそれと同じようなもので、日本政府が支持したり理解したりする価値のあるものではありません。
 
安倍首相も日本のメディアも、トランプ大統領が愚かで狂信的な人間であるという現実を早く受け入れなければなりません。