アメリカがシリアの空軍施設をトマホークで攻撃したのは、アサド政権が化学兵器を使用したというのが理由です。
朝日新聞は化学兵器で被害にあった民間人の様子をやけに詳しく報道していますが、こういう報道を見ると、逆にあやしく思えてきます。アメリカが戦争を始めるときに謀略はつきもので、メディアもあやつられている可能性があるからです。
 
アサド政権が化学兵器を使ったのが事実だとしても、それがそれほどの“悪”かという問題があります。
大量破壊兵器とされるものには、核兵器と生物化学兵器の2種類があります。生物化学兵器は国際条約で禁止されていますが、核兵器は禁止されていません。核兵器禁止条約案が国連に提出されていますが、アメリカや日本が反対していて、採択のめどが立っていません。
 
化学兵器は容易につくれて大量殺人が可能なことから「貧者の核兵器」とも言われます。先進国は自分たちだけ核兵器を持って、途上国が「貧者の核兵器」を持つのは許さないわけです。
アメリカはアサド政権が化学兵器を使ったのはけしからんと言いながら、自分は核兵器を先に使う権利があると主張しています。
 
 
そもそも国際法というのは先進国に有利にできています。
 
残酷な兵器ということで最初に禁止が議論されたのはダムダム弾です。
ダムダム弾というのは、銃弾の先端に鉛を露出させたもので、体内で銃弾が砕けてダメージを大きくする効果があります。インドのダムダム兵工廠でつくられたのでこの名前があるそうです。最初はイギリス軍が植民地の反乱を鎮圧するために使いましたが、すぐに反乱軍も使うようになります。銃弾の先端に刻みを入れるだけでダムダム弾になるからです。

これは不必要な苦痛を与えるということで、1899年に採択されたハーグ陸戦条約で禁止されました。殺傷力の強い兵器はいっぱいあるのに、なぜこんな原始的なものが禁止されたかというと、これもまた“貧者の兵器”であるからです。
イギリスなど先進国の軍隊は機関銃や大砲などがありますが、植民地の反乱軍にはライフル銃ぐらいしかありません。ダムダム弾の禁止は先進国に有利です。
 
私の父親は元海軍士官で、やたら戦史に詳しい人でした。私は父親から「イギリス軍はダムダム弾に苦しめられたので禁止兵器にした」という話を聞いたことがあります。今回、ネットで調べてみると、「不必要な苦痛を与えるので禁止された」という記述があるだけで、先進国と後進国の関係に言及したものは見つかりませんでしたが、ダムダム弾禁止が先進国に有利な規定であることはまぎれもない事実です。
 
なお、ハーグ陸戦条約には、捕虜としての扱いを受けるには、遠くからでもわかりやすい特殊徽章をつけていなければならない(つまり実質軍服を着ていなければならない)という規定があり、必然的にゲリラやレジスタンスなどは除外されます。これも先進国に有利な規定です。
 
日本のメディアなどは、アサド政権が化学兵器を使用したと鬼の首を取ったように騒いでいます。しかし、シリア人権監視団によると、2011年3月から2016年9月までの内戦による死者の数は約30万人になり、今回のアサド政権軍による化学兵器攻撃による死者は100人程度です。
また、アメリカはハイテク兵器を駆使して多数の戦闘員と民間人を殺していて、ドローンを使った攻撃のように、自分は絶対安全地帯にいて敵だけ殺すということも行われています。これは非難されなくて、化学兵器攻撃だけ非難されるのは果たして公平でしょうか。
 
化学兵器使用は国際法違反だと非難されていますが、今の国際法こそがテロや内戦を生む元凶かもしれません。