トランプ大統領は5月2日、ブルームバーグのインタビューで「(北朝鮮の)金委員長に会うことが自分自身にとり適切なら、当然、会談を行うことを光栄に思う」とし、「適切な状況下で会談する」と述べました。
これに対してホワイトハウスのスパイサー報道官は、「北朝鮮が挑発的な行動を即時に控えることを米国は確認する必要があり、現時点でこうした要件が満たされていないことは明白」と述べて、トランプ大統領の発言に否定的な見解を示しました。
 
トランプ大統領はまた4月27日のインタビューで、韓国に配備された高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の費用約10億ドルを「韓国側が支払うのが適切だと伝えている」と述べました。
この費用はアメリカ側が負担するということで合意ができていました。韓国大統領府の金寛鎮国家安保室長とマクマスター米大統領補佐官が改めて30日に電話で協議し、従来の合意を確認しましたが、マクマスター氏は米FOXニュースとのインタビューで、費用負担を巡る再交渉を示唆し、別の米韓関係筋も「トランプ氏の発言は否定できない。今後、再交渉は避けられないだろう」と述べたということです。この費用負担問題で韓国は大騒ぎです。
 
トランプ大統領の思いつきの発言によって政権全体が右往左往していることがわかります。
ですから、トランプ大統領や政府高官の発言をいちいち真に受けるのは愚かなことです。
 
 
しかし、安倍政権はトランプ政権から発信されるさまざまな情報を都合よく解釈して、危機感をあおろうとしています。
しかもそのやり方があまりにも露骨です。
 
北朝鮮、サリン搭載ミサイルを保持の可能性 安倍首相
東京(CNN) 日本の安倍晋三首相は13日、北朝鮮が猛毒の神経ガスであるサリンをミサイル弾頭に搭載して発射し、地上に着弾させる能力を既に保有している可能性があるとの見解を示した。
国会の外交防衛委員会で述べた。この見解の根拠については触れなかった。
首相はまた、日本を取り囲む安全保障の環境は厳しさを増し続けているとの認識も表明。化学兵器が用いられたとされ、乳児や子どもを含む多数の罪のない住民らが殺されたシリアの最近の惨事にも触れ、我々は「現実をしっかり踏まえるべきだ」と強調した。
(後略)
 
サリンをミサイルに搭載する可能性があるというのは当たり前のことですし、「サリンをミサイル弾頭に搭載して発射し、地上に着弾させる能力」などというと特別な能力のようですが、第一次大戦のときから毒ガスは砲弾に詰めて撃たれていました。安倍首相の発言には情報としての価値がまったくありません。ただ危機感をあおるためだけの発言です。
 
内閣官房のサイトも呼応して毒ガスへの恐怖をあおっています。
 
問8近くにミサイルが着弾した時はどうすればいいですか。
・屋外にいる場合は、口と鼻をハンカチで覆いながら、現場から直ちに離れ、密閉性の高い屋内の部屋または風上に避難してください。
・屋内にいる場合は、換気扇を止め、窓を閉め、目張りをして室内を密閉してください。
 
4月29日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したときには、東京メトロは10分間全線の運転を止めました。北朝鮮はミサイルの発射実験をしているだけで、日本を狙って撃っているわけではありません。乗客に迷惑をかけるだけの意味不明な対応です。
 
しかし、こうしたことが安倍政権にはプラスです。なにより森友学園問題が脇に押しやられてしまいました。
 
トランプ大統領もシリア攻撃が評価され、北朝鮮への強硬姿勢も国民から支持されているようです。
 
金正恩氏も、戦争の危機は国民を結束させ、政権基盤を強くすることになるので、積極的に危機をあおっていると思われます。
 
トランプ大統領も金正恩氏も安倍首相も、自分から積極的に戦争をする気はなくて、戦争の危機をもてあそんでいるだけでしょうが、火遊びをしているうちに火事が起こることもあります。
愚かな国家指導者ほど厄介なものはありません。