今、明らかに世界は戦争の方向に進んでいます。
トランプ政権の成立、ヨーロッパの右翼勢力の伸長、イギリスのEU離脱、安倍政権の高支持率、ロシア・中国・北朝鮮の強気外交、イスラム系テロの頻発、フェイクニュースの横行など、すべてがその方向です。
この背景には明らかにインターネットの普及があります。
 
以前は、一般大衆が自分の意見を社会に発信することはまず不可能でしたから、社会に存在するほとんどの意見はアカデミズムかジャーナリズムのフィルターを通したものでした。
しかし、今は一般大衆がインターネットで直接意見を発信でき、一般大衆が支持するか否かでネット内の世論は形成されます。つまりなんのフィルターもないのです。
そうしたネット世論の力が大きくなり、政治を動かすようになったのが今の状況です。
 
アカデミズムとジャーナリズムを支配しているのは知識人ですから、ネット世論はより愚かになります。これはポピュリズムとも言われます。
 
ポピュリズムの特徴のひとつは、利己主義です。
露骨な利己主義というのは、周囲の反発を買ってうまくいかないものですが、そういう抑制が効きません。
また、長期的な利益よりも短期的な利益が優先されます。
 
それから、事実の軽視、つまりフェイクニュースの横行です。
事実か否かよりも、自分にとって都合のいいニュースが信じられます。
「それは事実ではない」という意見があっても、少数意見として無視されてしまいます。
 
それから、勧善懲悪の実践です
勧善懲悪というのは、フィクションの中だけで有効ですが、大衆はこうしたフィクションを好むので、現実にも当てはめ、悪者を探してバッシングすることに夢中になります。
 
 
こうしたネット世論を背景にした政治が行われ、それが戦争に向かっているわけです。
しかし、今は愚かな大衆も、経験を積めば成長して賢くなって、ポピュリズムから脱却できるはずです。
大衆が学習できるのが民主主義のよさでもあります。
そして、大衆からかい離して、大衆に対してなんら説得力を持たない知識人も、この機会に学習することができます。
 
それまでに破局的な事態が起こることだけは避けなければなりませんが。