俳優の橋爪遼容疑者が覚醒剤取締法違反容疑で逮捕されました。
「俳優の橋爪遼」と言っても、知らない人が多いでしょう。ほとんど無名の俳優ですから、これではニュースになりません。しかし、「橋爪功さんの息子」ということなら話は別です。
時事通信の記事はこうなっています。
 
 
橋爪功さんの息子逮捕=知人宅で覚せい剤所持容疑―警視庁
 俳優の橋爪遼容疑者(30)が覚せい剤を所持したとして、覚せい剤取締法違反容疑で警視庁に現行犯逮捕されていたことが3日、同庁築地署への取材で分かった。同容疑者は俳優の橋爪功さん(75)の息子。容疑を認めているという。
 逮捕容疑は2日午後9時半ごろ、埼玉県内に住む知人の男の共同住宅で、覚せい剤若干量を所持した疑い。
 築地署によると、男が他人に覚せい剤を譲り渡した疑いがあり、家宅捜索しようとしたところ橋爪容疑者と男が部屋から出てきた。室内から白い粉末が見つかり、簡易鑑定で覚せい剤と判明したため、所持容疑などで2人を逮捕した。
 所属事務所のホームページによると、橋爪容疑者は2004年にデビュー。「映画クローズZERO」やテレビドラマなどに出演していた。(2017/06/03-22:53
 
20歳すぎた子どもの行為に親の責任はないという考え方がありますが、必ずしもそうとはいえません。凶悪な殺人事件を起こした20代の男が実家で親と同居していたとすれば、親の影響があるに違いなく、どんな親子関係だったのかということは解明されるべきです。
 
しかし、橋爪遼容疑者は30歳ですし、親と同居はしているようですが、覚醒剤犯罪に親の影響があるとも思えません。
それに、この記事は親子関係のあり方についてはなにも言っていません。
 
本来なら、30歳の俳優が逮捕されたというだけの記事です。末尾に「なお、容疑者は橋爪功さんの息子である」という説明があってもいいし、なくてもいいというところです。
 
しかし、どのメディアも同じような記事を書いています。
共同通信が配信したものが同じになるのは当然として、独自に記事を書いたと思われるメディアも、ほとんど同じタイトルになっています。
 
 
俳優・橋爪功さんの息子を覚醒剤所持容疑で逮捕 警視庁(朝日新聞)
 
橋爪功さん長男の遼容疑者、覚醒剤所持の疑い(読売新聞)
 
覚醒剤所持容疑で俳優の橋爪遼容疑者を逮捕 橋爪功さんの息子 警視庁(産経新聞)
 
俳優・橋爪功さんの息子 覚醒剤所持で逮捕[日本テレビ系(NNN)]
 
橋爪功さんの息子、遼容疑者 覚醒剤所持の疑い[テレビ朝日系(ANN)]
 
俳優・橋爪功さんの息子、覚醒剤所持容疑で逮捕[TBS系(JNN)]
 
橋爪功さんの息子、覚せい剤所持で逮捕[フジテレビ系(FNN)]
 
 
どの記事にも「橋爪功さんの息子」という言葉が入っています(ひとつだけ「橋爪功さん長男」ですが)
これは警察の発表が「今日、橋爪功さんの息子を逮捕しました」といった感じで始まって、各記者がメモしたままを記事にしたからでしょうか。
 
ともかく、「30歳の俳優が逮捕された」というほとんどニュースバリューのない記事が、見出しに「橋爪功」という名前を入れることで世間の注目を集める記事になったわけです。
 
ということは、報道各社は橋爪功さんに名前を使ったことのギャラを支払うべきではないでしょうか。
企業が商品の宣伝などに有名人を使う場合は、当然ギャラが発生します。それと同じです。
息子さんが逮捕されたから、勝手に名前を使っていいという理屈はないはずです。
 
 
こうしたことの背景には、犯罪がへり続けているという事情があります。
平成28年版の「犯罪白書」によると、刑法犯の認知件数は平成14年のピークから13年連続で減少し、ピーク時の4割弱になりました。ニュースになるような凶悪犯罪もへっています。
そのためマスコミは芸能人犯罪を大きく扱うようになりました。
 
それは警察も同じで、芸能人の犯罪はとくに熱心に摘発しています。
共謀罪も、警察が少ない犯罪でメシを食うための手段です。
 
ともかく、マスコミは橋爪功さんの名前を勝手に使って儲けただけでなく、橋爪功さんに悪いイメージを与えたわけで、ギャラのほかに損害賠償金を払ってもいいぐらいです。