6月23日から都議選が始まるのに合わせて、公明党が党機関紙やツイッターを使って共産党批判を強めていますが、その言葉づかいが「実績横取りのハイエナ政党」とか、「汚い、危険、北朝鮮の3つのK」という具合で、品位もなにもありません。トランプ大統領や安倍政権と同じです。
その言葉づかいの中に、今の日本における最大の問題が垣間見えます。
 
公明党は共産党を批判するとき、「国も認めた“お墨付き”」という言葉を使っていました。これは公明党の公式サイトにも書いてあります。
 
 
Kiken(危険!)オウムと同じ公安の調査対象
法務省外局の公安調査庁は、公共の安全確保を図ることを任務として、法律に基づき、共産党や中核派などのほか、オウム真理教を調査の対象としています。
 
このうち共産党について、政府は昨年3月、「警察庁としては現在においても……『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」とする答弁書を閣議決定し、無所属の衆院議員が提出した質問主意書に答えました。
 
答弁書は、共産党が戦後に合法政党になって以降も「日本国内において暴力主義的破壊活動を行った疑いがあるものと認識している」と指摘。「現在においても、破壊活動防止法に基づく調査対象団体である」としています。
 
公安調査庁のホームページ(HP)にも、共産党は「各地で殺人事件や騒擾(騒乱)事件などを引き起こしました」「暴力革命の可能性を否定することなく、現在に至っています」と、同庁の見解が明記されています。共産党の危険性は、国も認めた“お墨付き”です。
 
 
公明党は、公安調査庁と警察庁の判断を「国の“お墨付き”」だと言っています。
 
公安調査庁や警察庁は一行政機関です。
政治は国のあり方を決め、行政は政治の決めた法律を実行するわけですから、政治は行政より上の立場にあります。公安調査庁が政党を評価するというのは本末転倒です。
とはいえ、現実にそういうことが行われているわけですが、それを「国の“お墨付き”」と認めてはいけません。
そんなことをしていると、公安調査庁が公明党を危険な政党と認定したら、公明党はそれも「国の“お墨付き”」として認めなければなりません。
 
公明党のこの愚かさは、公明党だけのものではありません。日本全体をおおっています。
公安、警察、検察、裁判など司法関係の行政機関をあがめて、その判断を絶対化する傾向があるのです。
それはとくにマスコミに顕著で、警察や検察が誰かを逮捕するとたちまち犯人扱いしますし、裁判所がおかしな判決を出してもほとんど批判しません。
 
たとえば、6月19日に大阪地検特捜部が森友学園に強制捜査に入りましたが、その容疑は補助金不正受給の詐欺などで、本筋の国有地不正払下げ容疑は入っていません。つまりこの捜査は“籠池つぶし”で、結果的に安倍政権擁護になるわけですが、マスコミはそうしたことにはまったく言及しません。
 
また、共謀罪がなぜいけないかというと、警察が恣意的な捜査を行えるようになり、警察権力が強大化するからですが、共謀罪反対派も警察批判をしないので、その反対の論理に説得力がありません。
 
法律は決して杓子定規に運用されるわけではありません。そこに政治的、倫理的な判断が入り込みます。
政治的、倫理的な判断については、マスコミや国民も警察司法機関と対等です。というか、国民はむしろ警察司法機関を動かす立場です。
 
正しい倫理学を身につければ、警察司法組織を的確に批判できるようになりますし、公安調査庁の判断を「国の“お墨付き”」などと言ってありがたがる公明党も批判できるようになります。