稲田朋美防衛相が都議選の応援で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言したのは、まさに“行政の私物化”のきわみです。
 
なぜこんな愚かな発言をするのかというと、稲田防衛相は大臣になってから周りに「大臣、大臣」と持ち上げられ、うれしくてしょうがないのでしょう。そのためつい「防衛大臣として」と言ってしまったのではないかと思われます。
 
稲田防衛相はシンガポールで開かれた国際会議で、オーストラリアとフランスの国防大臣とともに壇上に立ち、「私たち3人には共通点がある。みんな女性で、同世代。そして、全員がグッドルッキング(美しい)」と言って顰蹙を買いましたが、これも浮かれた気分を感じさせます。
また、稲田防衛相はハイヒールをはいて護衛艦を視察したり、リゾートファッションでジブチ視察をしたりということも話題になりましたが、これも同様です。
 
そのため失言も多くなるわけですが、失言によって真実がわかるということもあります。
たとえば、南スーダンで「戦闘行為」があったか否かを問われて、「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、『武力衝突』という言葉を使っている」と答弁しました。あくまで「『戦闘行為』はありません。あったのは『武力衝突』です」と答弁するべきところで、菅官房長官なら平然とそうしているでしょう。ですから、これも失言の類ですが、おかげで安倍政権の考え方がわかりました。
 
そういう意味では、今回の失言も同じです。
“行政の私物化”は安倍政権の体質です。そこから森友学園や加計学園の問題も生じています。そのことを改めて認識させてくれました。
 
なお、安倍政権は“自衛隊の私物化”もひどいもので、南スーダンで「戦闘行為」を「武力衝突」と言い換えて、なかなか自衛隊を撤収させなかったのは、いきなり米軍指揮下で自衛隊が戦闘をするより、国連指揮下で一度戦闘を経験したほうがいいということからでしょう。自衛隊員にすれば、意味もなく危険にさらされたわけです。
 
そもそも稲田朋美氏が防衛相に起用されたのも、安倍首相のお友だちだったからで、“人事の私物化”です。
稲田氏は右翼ですが、右翼と軍事に詳しいこととはまったく別です。弁護士という経歴と女性であることからして、おそらく軍事にはド素人だったでしょう。
 
稲田防衛相を罷免せよという声が高まっていますが、安倍政権としては、やめさせると求心力が低下するので、むずかしいところです。
 
安倍首相は「日本を取り戻す」と“日本私物化宣言”をしてやってきましたが、そのウミがここにきて一気に噴き出している格好です。