さまざまな問題を引き起こしている稲田朋美防衛相が今度は、九州北部の豪雨で自衛隊が捜索救助活動に当たっているときに政務で約1時間防衛省を離れたことで、また問題を引き起こしています。
反安倍派が批判するのは当然ですが、今回は読売新聞、産経新聞などの保守派からもきびしく批判されています。
 
実際のところは、稲田防衛相がその場にいなかったところでとくに問題はないでしょう。しかし、戦における指揮官はその存在感がだいじです。戦いが劣勢になったり、思いがけない事態が起こったりしたとき、大将が本陣の真ん中にどっしり構えて、動じない姿勢を見せることもひとつの役割です。
稲田防衛相は「15分程度で戻れるところにいた」とか「食事せずに戻った」とか弁解をしていますが、そういう問題ではありません。
軍事を重視する保守派からすれば、稲田防衛相は指揮官の資質がないとして批判するのは当然です。
 
 
では、安倍首相はどうでしょうか。
安倍首相は都議選の最終日に秋葉原の街頭で演説しましたが、聴衆から「安倍辞めろ」や「帰れ」コールが起こったのにキレて、聴衆を指さして「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫びました。
 
国民を「こんな人たち」呼ばわりするのはけしからんという批判もありますが、「帰れ」コールの聴衆はしばき隊などの「プロの活動家」だから、安倍首相が「こんな人たち」と言ったのは当然だという声もあります。
 
秋葉原街頭といえば、かつては安倍人気で聴衆があふれたこともあります。しかし、今回は安倍首相の演説を盛り上げるのは自民党青年局などの、それこそ「プロの活動家」ぐらいでした。その人気の凋落が根本の問題で、「帰れ」コールをしたのが誰かということは問題ではありません。
 
安倍首相は大将として敵の城の本丸を攻めなければならないときに、出城から出てきた少人数の雑兵をむきになって攻撃したみたいなものです。
当然、指揮官としての資質が疑われます。安倍首相の指揮下の人たちは、これでは勝てないと思ったでしょう。
 
しかし、自民党内から少しは批判の声が上がっていますが、広がりはありません。菅官房長官は安倍首相の発言を擁護していますし、産経新聞はあの聴衆の中にしばき隊が入っていたということを強調しています。
稲田防衛相は批判できても、安倍首相は批判できないということでしょうか。
 
そのため安倍首相はまったく反省していません。
安倍首相は、あの聴衆を「選挙妨害の左翼活動家」とバッシングするフェイスブックに「いいね!」を押していましたし、昭恵夫人も聴衆を「プロの妨害」と表現したフェイスブックに「いいね!」を押していました。
 
ほんとうは安倍首相を応援する人こそ安倍首相に苦言を呈さなければならないのですが、どうやらそういう人は遠ざけられて、周りはイエスマンばかりになっているようです。