オスプレイがオーストラリア沖合で事故を起こしたことを受けて小野寺防衛相は日本国内でのオスプレイ飛行自粛を米軍に申し入れましたが、8月7日午前中に沖縄の普天間飛行場からオスプレイが飛び立つのが確認されました。
日米関係を象徴するような話です。
日本国内のことなのに、日本はアメリカにお願いするだけです。
 
これは日米関係だけでは終わりません。北方領土問題にも及んできます。
 
昨年12月、安倍プーチン会談が安倍首相の地元の山口県で行われ、北方領土問題で大きな進展があるのではないかと期待されましたが、北方領土での「共同経済活動」をするなど経済協力の合意だけに終わりました。
なぜそうなったかというと、交渉過程で谷内正太郎国家安全保障局長がロシア側から「2島を引き渡した場合、島に米軍基地は置かれるのか」と聞かれて、「可能性はある」と答えたからです。
「米軍基地はつくらせない。約束する」と答えればいいのに、バカじゃないかと思いました(念のために日米地位協定を見てみましたが、アメリカが一方的に基地をつくれるというような規定はありません)
 
ただ、これは水面下の交渉を朝日新聞などが報じたもので、どこまで真実かわかりませんでした。
しかし、プーチン大統領は6月1日、世界の主要通信社の代表と会見した際、北方四島について「日本の主権下に入れば、これらの島に米軍の基地が置かれる可能性がある」と述べ、現状では日本への返還は難しいとの認識を示しました。
 
これに対して日本政府はなにも反論をしていませんから、実際に交渉のときに「米軍基地が置かれる可能性がある」と言ったのでしょう。
 
北方領土に米軍基地ができるかもしれないなら、ロシアが北方領土を返そうとしないのは当然です。
 
安倍政権がなぜ北方領土返還をだめにするようなことを言ったのか不思議でしたが、そのわけがやっとわかりました。
 
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』の著者である矢部宏治氏が「現代ビジネス」で次の記事を書いていました。
 
なぜ日本はアメリカの「いいなり」なのか?知ってはいけないウラの掟
内閣改造でも絶対に変わらないこと
 
そこから一部を引用しますが、ぜひ「現代ビジネス」で全文を読んでいただきたいと思います。
 
 
さらにもうひとつ、アメリカが米軍基地を日本じゅう「どこにでも作れる」というのも、残念ながら私の脳が生みだした「特大の妄想」などではありません。
なぜなら、外務省がつくった高級官僚向けの極秘マニュアル(「日米地位協定の考え方増補版」198312月)のなかに、
○アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。
○日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。
という見解が、明確に書かれているからです。
つまり、日米安全保障条約を結んでいる以上、日本政府の独自の政策判断で、アメリカ側の基地提供要求に「NO」ということはできない。そう日本の外務省がはっきりと認めているのです。
 
 
つまり密約があるというわけです。
こういうことは陰謀論だとかたづけられやすいですが、プーチン大統領の発言を日本政府がまったく否定しないのは、密約があるからだと考えるしかありません。
 
また、日本のマスメディアは、プーチン大統領の発言を追及したり、北方領土返還がうまくいかなかった理由を追及したりすることがまったくありません。それをすると日米の密約にぶつかることがわかっているからです。
 
沖縄の基地問題がまったく解決しないのも、こうした密約があるからと考えるしかありません。
 
自民党政権はこうしたことにまったく無力です。
なんとかできる可能性があるのは民進党と共産党ぐらいです。
少しずつ情報公開を進める形で日米関係をまともなものにしていってほしいものです。