就任以来、失言連発の江崎鉄磨沖縄北方担当大臣ですが、8月8日の記者会見で「日米地位協定、もう少し見直さないと」と言ったのは、失言というよりも正論です。
しかし、案の定、その後「見直し」を「改善」と言い換えました。
 
江崎大臣が日米地位協定見直し発言をしたきっかけは、オーストラリア沖合で米軍のオスプレイが墜落事故を起こしたことについて聞かれたことです。
江崎大臣は、名護市の海岸でオスプレイが墜落事故を起こしたことを持ち出しました(大臣は「1か月ぐらい前だったですか」と言っていますが、正しくは昨年1213日の事故)
このときオスプレイの乗組員に死者は出ませんでしたが、機体は大破して、「不時着」か「墜落」かという議論が起きました。
 
江崎大臣の言葉をニュース番組から書き起こしてみます。
 
「このときも事故の報告をと米軍に願ったのですが、いまだ報告されておらんのかな。要するに最低でもね、操縦ミスだったか、機体が好ましくないのか、返事いただきたいよね」
 
私はこれを聞くまで、この事故の報告がされていないということを知りませんでした。江崎大臣はよく知っていたなあと思いましたが、おそらく会見の直前にレクチャーを受けたのでしょう。
 
米軍が事故報告をいまだにしていないということは、ほとんど報じられていません。検索してみて、「琉球新報」の8月7日の社説でやっとわかりました。
社説の一部を引用します。
 
 
名護市の墜落事故の時も米軍は「機体の安全性には問題がない」として、事故から6日後に飛行を再開した。ところが米側はこの事故の調査報告書をいまだに日本側に提供していない。
 事故調査報告書は日米合同委員会で、日本が米国に「公表可能な報告書の写し」の提供を要請し、6カ月以内に提供されることになっている。名護市の事故でも日本政府は6日後に報告書の写しの提供を要請している。6月19日が期限だったが、米側は日本側に提供せず、提供できない理由などの通知もしていない。
 6カ月以内に提供できない場合、米側は調査終了見込み日を日本側に通知することになっている。その日米合意もほごにしたまま、現時点でも提供されていない。そして今回、墜落事故が起きた。米軍のやりたい放題ではないか。
 調査報告書の遅れは「機体に問題はない」とするこれまでの見解に、疑問符がついているからではないか。2010年のオスプレイ墜落事故の際に「機体に問題があった」と結論付けた調査報告書に対して、空軍上層部が「人為的ミス」と改ざんするよう圧力を掛けていたことがあるため、そう疑わざるを得ない。
 
 
期限がきても報告しないとはけしからん話です。
こういうことを踏まえて江崎大臣は「地位協定見直し」を言ったわけです。
 
つまり江崎大臣の発言は、「米軍は名護市の事故の報告をいまだにしない」ゆえに「地位協定の見直しが必要だ」という論理になっているのです。
 
ところが、江崎大臣が名護市の事故に言及したことを報じたニュース番組は、今回調べたのですが、報道ステーションだけでした。ほかのニュース番組は、そのことに触れないので、まるで江崎大臣が唐突に、理由なく地位協定見直しを言い出したようになっています。
 
沖縄県民以外の日本人で報道ステーションを見ていなかったほとんどの人は、米軍がいまだに名護市の事故の報告書を提出していないという事実を知らないはずです。
人間は具体的な事実に心を動かされるものです。
 
1995年に沖縄で12歳の少女が3人の米兵にレイプされるという事件があり、3人の米兵が日本側に引き渡されなかったために、沖縄で地位協定見直しを求める大規模な運動が起きましたが、このときも本土のマスコミはレイプ事件そのものをまったく報じませんでした。
そのため、本土と沖縄では大きな温度差が生じたのです。
 
報道ステーション以外のマスコミは、江崎大臣が問題提起した「名護市の事故報告の遅れ」をどうして無視するのでしょうか。
いや、名護市でオスプレイの事故があったという事実さえもが無視されています。

沖縄差別はこういう形で現れます。