トランプ大統領はバノン主席戦略官を更迭しました。
バノン氏はトランプ大統領と思想的にいちばん近い人間です。「お前はクビだ!」が決めゼリフとはいえ、この調子では味方が誰もいなくなります。
トランプ政権が崩壊の過程に入ったことは明白です。
 
トランプ大統領は敵をつくり、攻撃することで人気を得てきました。
こういう政治家は普通、人気を得るための戦略でやっているものですが、トランプ大統領の場合は、それが本性で、戦略ではありません。
そのため、身内で結束するということもできず、身内にも敵をつくってしまいます。
 
バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義団体と反対派が衝突し、1人が死亡した事件について、トランプ大統領は白人至上主義団体を名指しで非難しなかったことで世論から批判されました。そのため翌日、トランプ大統領は紙を読みながらKKKなどを非難し、「人種差別は悪だ」などと述べました。ところが、その翌日の記者会見で記者に質問されたことをきっかけに、「突撃してきた反対派の『オルト・レフト』はどうだ? 彼らに罪はないのか?」「両者に非がある」などと語り、またも世論から批判されました。
 
こういういきさつを見ると、トランプ大統領は戦略よりも感情を優先させて失敗していることがわかります。
 
戦略よりも感情の人というのは、選挙戦のときのテレビ討論などでは有利に働きました。瞬間的に相手に反論できるからです。
大統領になれば戦略的に行動するようになるだろうという期待がありましたが、大統領になってもツイッターで、誰かを批判することと、自分をアピールすることを言い続けました。政権運営よりも“自分ファースト”の感情を優先させたのです。
 
ところが、今でも新聞などは、「トランプ大統領が白人至上主義者擁護の発言をしたのは白人支持層をつなぎとめるためだ」などとトランプ大統領の“狙い”を解説したりしています。
北朝鮮問題に関しても、マスコミや識者はトランプ政権の対北朝鮮政策についていろいろ解説したり推測したりしています。しかし、トランプ大統領に戦略などあるわけがなく、推測するだけむだです(ただ、共和党主流派や軍は戦争をする気がないのははっきりしていると思います)

しかし、「アメリカ大統領は偉大である」という思い込みの強い人は、なかなか現実が見えません。
また、「強固な白人支持層がいる」ということでトランプ大統領を評価する人もいますが、その白人支持層というのは要するに白人至上主義者で、経済的には黒人よりもはるかに恵まれています(2012年のアメリカ国勢調査で黒人の貧困率は27.2%、白人の貧困率は12.7)
 
トランプ大統領の支持率が下がったことに対して、誰かが立て直しの戦略を立てたところで、トランプ大統領がその通りに行動することはないので、立て直すことは不可能です。
 
これから考えなければならないのは、どうやってトランプ政権崩壊をソフトランディングさせるかということです。

 
なぜこういう人がアメリカ大統領になったかというと、インターネットの普及でヘイトスピーチが当たり前になった世の中の流れに乗ったからです。
トランプ政権の崩壊で、ヘイトスピーチをする人間がいかにだめであるかが誰の目にもはっきりすれば、この愚かな政権に世界が振り回されたこともむだではなかったということになります。