9月11日はアメリカ同時多発テロから16周年でした。
テロの翌月にアメリカはアフガニスタン戦争を始めているので、アフガニスタン戦争も16周年です。「アメリカ史上最長の戦争」と言われていますが、トランプ政権はアフガン増派を決定していますから、まだまだ終わりそうにありません。
イラクもいまだに内戦状態です。
外国が武力で政権を転覆しても、そのあとがうまくいかないということがよくわかります。
 
ベルリンの壁崩壊で東欧圏の多くの国で政権の転覆が起きましたが、これはいわば自然発生したものです。
もしその前にNATO軍が侵攻して政権を転覆させていたらどうなっていたでしょうか。
東西ドイツが統一されたとき、旧東ドイツでは国営企業の倒産などで失業者が増大し、旧西ドイツでは援助コストに苦しみ、長い不況になりました。
もし東ドイツの政権が武力で倒されていたら、旧東ドイツの人々は現在の生活苦を「あのとき武力で政権が倒されたせいだ」と考えて、反体制運動やテロなどに走って、政情不安が起きたかもしれません。
 
外国の武力で政権が転覆されると、国民にとってはそのときの武力衝突自体がトラウマになりますし、それによってできた政権が自分たちの政権だという意識も持てないので、どうしても不安定な政権になります。
 
そういうことを考えると、北朝鮮に対して武力行使をするべきだという意見がありますが、そのときの戦争によって甚大な被害が生じるだけでなく、のちのち問題を残して、アフガニスタンやイラクのようなことにもなりかねません。とくに金正恩氏をアメリカ軍が殺すと、英雄視や神格化の対象となるということも考えられます。
 
 
考えてみれば、日本もまた外国軍によって“国体”を変えられた国です。
もっとも、互いに宣戦布告しての戦争ですし、日本が先制攻撃していますし、国民はある程度敗戦の不利益を受け入れる覚悟があったでしょう。
それでも、いまだに戦前の“国体”に戻したいという政治勢力が存在しています。
これはトラウマによるもので、理屈ではありません。そのため、この政治勢力は平和主義、主権在民といったものまで否定しようとしています。
 
70年以上たっても日本はまだトラウマを克服できていないのですから、アメリカ軍がいる限りアフガニスタン戦争は100年続いてもおかしくありません。
アメリカは「あとは野となれ山となれ」と思って撤退するのがアフガニスタンのためです。
 
アフガニスタン戦争を見ていると、民族自決権のたいせつさが改めてわかります。
北朝鮮はどうあるべきかという問題も、北朝鮮の国民と韓国が決めることです。
最近の日本における北朝鮮問題の議論を見ていると、民族自決権を忘れているかのようです。