選挙に勝利した自民党ですが、安倍首相にほとんど笑顔はありませんでした。
今後、なにもいいことがなさそうだからでしょう。
 
今後の政治の焦点は憲法改正だというようなことをマスコミは書いていますが、私はそれに疑問を感じています。
安倍首相は選挙演説で憲法改正にはほとんど触れませんでしたし、選挙翌日の記者会見でも自分からは憲法改正については述べませんでした。ただ、記者の質問は改憲問題に集中し、新聞各紙は一面トップに「改憲論議、首相が意欲」といった見出しを持ってきました。
マスコミが改憲問題を大きくしているのです。
 
安倍政権はすでに解釈改憲をして安保法制を成立させました。つまり実質改憲をしたことになります。
「仏つくって魂入れず」という言葉がありますが、仏をつくる前に魂を入れたので、これから仏をつくるのは抜け殻をつくるのと同じです。安倍首相はあまりやる気がないのではないでしょうか。
 
改憲に賛成する議員が8割ほどになるというアンケート結果がありますが、改憲といっても、憲法九条、教育無償化、緊急事態条項、首相の解散権といった項目があり、どれと特定せずにアンケートをしているので、あまり意味がありません。
 
問題は憲法九条ですが、いまだ改憲案が決定しません。
安倍首相は九条に第三項を追加して「自衛隊」を明記するという案を出していますが、どういう条文かは言っていません。
第二項で戦力は保持しないと書いてあるのに、第三項で自衛隊を保持すると書いたのでは、明らかな矛盾ですから、具体的な条文は示せないのでしょう。
憲法は施行されて70年、ずっと改憲が議論されていますが、議論するばかりで、具体的な案はいまだに出てきません。
自民党は2012年に改憲草案をつくりましたが、今はこれは反故になっているようです。
つまり具体案が出ると、いろいろと批判されて消えてしまいます。
改憲案はお化けみたいなもので、出る出ると言いながら、いつまでたっても出てこないのです。
 
具体的な改憲案もないのに議論するのは時間のむだです。改憲派が具体的な改正の条文を提示したら、それから議論すればいいのです。
 
 
安倍首相も時間のかかる改憲に熱意はなく、それよりも安保法制の具現化を目指しているのではないかと思われます。
つまりアメリカの戦争に参加するということです。
自民党の今回の選挙のキャッチコピーは「この国を、守り抜く」でした。これは明らかに戦争を前提としています。
 
アメリカが作戦を立てて北朝鮮を攻撃するという可能性はほとんどないと思いますが、意図せずに戦争が起こることはありえます。
いずれにせよ、朝鮮半島で戦争が起こったとき、日本はどうするかを今から決めておかないといけません。
そういう議論がまったくないのは不思議です。
 
困るのは、参戦するつもりはないのに結果的に参戦してしまうことです。
安倍首相はそれを狙っているのではないかと思われます。
 
米空母と海自が共同訓練 北朝鮮けん制、28日まで

2017.9.2220:42

海上自衛隊は22日、米海軍の原子力空母ロナルド・レーガンと海自の護衛艦が太平洋で共同訓練を実施したと発表した。28日までの予定で、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮をけん制する狙いがある。
 
 訓練は11日から房総半島沖で始まり、ロナルド・レーガンが海自のヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」と通信の手順などを確認しながら巡航した。その後、いせと交代で護衛艦「あけぼの」が参加。沖縄周辺の海域まで移動しながら訓練した。
 今後、あけぼのに代わって護衛艦「さざなみ」が加わる。米海軍はイージス艦なども参加した。
 ロナルド・レーガンは今月8日、周辺海域の警戒任務に当たる長期航海のため、横須賀基地(神奈川県横須賀市)を出港していた。
 
「訓練」とは言っていますが、要するに自衛艦が米空母を護衛している形です。
こんなときに戦争が起こったら、自衛艦だけ離脱するわけにいきません。自衛艦が護衛する米空母から攻撃機が飛び立てば、日本も参戦したことになります。
これは安倍政権の「自発的まきこまれ」作戦だと思われます。
 
日本がアメリカの戦争に参戦するつもりがなければ、今の時期は自衛艦と米艦の共同行動は避けるべきです。
 
しかし、こんなことを言うのがむなしいほど、今や自衛隊と米軍は一体化しています。
国民のほとんども自衛隊と米軍が一体化した現実を受け入れているかもしれません。
 
ただ、立憲民主党は「違憲の安保法制は廃止」という立場です。
今すぐ安保法制は廃止できませんが、朝鮮半島で戦争が起きても、参戦するしないは日本が決めることです。
立憲民主党は、第二次朝鮮戦争が起きたときに日本は参戦するか否かという議論を巻き起こし、とりあえず自衛隊と米軍の分離を主張し、安倍政権の「自発的まきこまれ」作戦を阻止してほしいものです。