座間市9人殺害事件を見て思うのは、自殺願望の若者がいかに多いかということです。
 
2017年版の自殺対策白書によると、自殺者総数は7年連続で減少していますが、若者については減少傾向が少なく、20歳代未満ではほぼ横ばいです。若者の自殺は国際的にも深刻で、韓国がワースト1、日本がワースト2という格好です。
 
つまり日本は若者の生きにくい国です。もちろんその原因は若者にあるのではなく、そういう国をつくったおとなにあります。
 
学校でのイジメにしても、その原因は子どもにあるのではなく、そういう学校をつくったおとなにあります。
ところが、おとなたちは子どもが原因だと考えて、子どもを指導してイジメをなくそうとしているので、うまくいくわけがありません。
 
「近ごろの若い者はなっていない」というのは、「昔はよかった」というのと並んで、年寄りの決まり文句ですが、どうも近ごろはそれをまじめに信じ込んでいるおとなが多いようです。
 
たとえば、次の記事の80代の老人などもそうです。
 
 
女児、大声で叱られPTSDに 祭り主催の市に賠償命令
 秋祭りでボランティアスタッフの高齢男性に大声で叱られ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして、当時5歳の女児が、主催者の埼玉県深谷市に約190万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、東京地裁であった。鈴木正紀裁判官は症状との因果関係を認め、約20万円の支払いを同市に命じた。
 判決などによると、女児は両親らと2014年11月に同市内であった秋祭りを訪れた。その際、輪投げ会場の受付の机の上にあった景品の駄菓子を手に取ったことを、80代のボランティア男性に大声で叱られた。女児は駆けつけた父親の前で泣き出し、父親と男性が口論するのを見て、4カ月後にPTSDと診断された。
 裁判で原告側は、叱られた後、女児が両親から離れるのを怖がったり、画用紙を黒く塗りつぶしたりしたと主張。市側は、暴言はなく、症状との因果関係はない、と訴えていた。
 鈴木裁判官は、男性は高齢で耳が悪く、地声が大きかったと指摘。女児の行動を見て「親のしつけができていない」と激高し、相当大声で話したと認めた。その上で、「女児は大きな声で注意された上、口論を見て、強い精神的ショックを受けた」ことが、PTSDの原因だったと認定した。
 一方で、判決は女児のそばにいながら、その行動に注意していなかった親の落ち度なども認め、損害額の2割の支払いを命じた。
 深谷市は「判決を見ていないので現段階でコメントできない」としている。(後藤遼太)
 
 
事件そのものはたいしたことではありませんが、5ちゃんねる(2ちゃんねる)では5歳の女児が悪いという声が圧倒的です。こういう声が世の中を悪くしているのではないかと思って、取り上げました。
 
裁判所が約20万円の支払いを命じたということで結論は出ているわけですが、そもそも5歳の子どもに“私的所有”という概念がどこまで理解できているか疑問ですし、このときは秋祭りで、食べ物などがふるまわれていても不思議ではなく、子どもがお菓子をタダでもらえると誤解したかもしれません。
そして、根本的には、この老人は「これは景品だから、持っていっちゃだめだよ」と優しく言えばよかったわけです。
大声で叱るのがだめなのは当然です。
 
もしこれが5歳の子どもでなくて、中学生ぐらいだったら、大声で叱られてもPTSDになることはなかったでしょう。
幼いほど叱られたショックが大きいのは当然です。
 
ところが、世の中ではまったく逆のことが言われています。
たとえば「近ごろの若者は叱られたことがないので、ちょっと叱られただけですぐ会社をやめてしまう」とよく言われます。
これは、もっと若いうちに叱られたほうがいいという意味でしょう。
しかし、叱られてすぐ会社をやめてしまうような人間は、若いときに叱られたらもっとショックが大きくて、家出したり登校拒否になったり自殺したりするかもしれません。
叱るときは相手に合った叱り方をしなければならないのに、ただ自分の感情だけで叱って失敗したおとなが、自分を正当化するために「近ごろの若者は叱られたことがない」などといい加減なことを言っているのです。
 
報告される幼児虐待の件数は増え続けていますし、学校での体罰事件もあとを絶ちません。若いときに叱られるほどダメージが大きいのは当然で、それが若者の自殺の原因になっているのではないでしょうか。
 
座間市9人殺害事件では、15歳、17歳という被害者がいました。この年齢で死にたくなる原因はなんでしょうか。
周りのおとながPTSDになるような叱り方をしていなければ幸いです。