トランプ大統領はアジア歴訪において、韓国とフィリピンで激しい反トランプデモに見舞われました。
韓国もフィリピンもアメリカの同盟国です。絆が強い分、反発も強いのでしょう。
しかし、日本では反トランプデモはありませんでした(日本在住アメリカ人によるデモはありましたが)
日本人のアメリカ観は世界からずれているようです。
 
そういう私も、アメリカについて基本的なことを知りませんでした。
アメリカ国歌は「星条旗よ永遠なれ」だと思っていましたが、これは勘違いでした。
アメリカの国歌は「星条旗( The Star-Spangled Banner)」という歌です。
「星条旗よ永遠なれ(Stars and Stripes Forever)」は「国の公式行進曲」という位置づけです。
 
外国の国歌については、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」は、歌詞が「血まみれの旗」などあまりにも好戦的だと批判されますし、ドイツ国歌「ドイツの歌」は、やはり「世界に冠たるドイツ」などの歌詞があまりにもナショナリズムをあおると批判され、一番は歌われないということです。
 
では、アメリカ国歌「星条旗」の歌詞はどうかというと、これも十分に好戦的です。「血」という言葉も出てきます。
 
この歌詞は、独立戦争のとき、ボルティモア港のマクヘンリー砦がイギリス軍の猛攻を受けても耐え抜き、大きな星条旗を掲げていたのを見て感激した弁護士のフランシス・スコット・キーが書いたものです。
硫黄島の星条旗も似たような状況です。アメリカ人の感動するポイントのようです。
 
 
「星条旗」
1.
おお、見えるだろうか、
夜明けの薄明かりの中
我々は誇り高く声高に叫ぶ
危難の中、城壁の上に
雄々しく翻(ひるがえ)る
太き縞に輝く星々を我々は目にした
 
砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中
我等の旗は夜通し翻っていた
ああ、星条旗はまだたなびいているか?
自由の地 勇者の故郷の上に!
 
2.
濃い霧の岸辺にかすかに見える
恐れおののき息をひそめる敵の軍勢が
切り立つ崖の向こうで
気まぐれに吹く微風に見え隠れする
 
朝日を受け栄光に満ちて輝きはためく
星条旗よ、長きに渡り翻らん
自由の地 勇者の故郷の上に!
 
3.
戦争による破壊と混乱を
自慢げに断言した奴等は何処へ
家も国もこれ以上我々を見捨てはしない
彼等の邪悪な足跡は
彼等自らの血で贖(あがな)われたのだ
 
敗走の恐怖と死の闇の前では
どんな慰めも傭兵や奴隷達の救いたりえず
勝利の歓喜の中、星条旗は翻る
自由の地 勇者の故郷の上に!
 
4.
愛する者を戦争の荒廃から
絶えず守り続ける国民であれ
天に救われた土地が
勝利と平和で祝福されんことを願わん
国家を創造し守り賜(たも)うた力を讃えよ
 
肝に銘せよ 我々の大義とモットーは
「我等の信頼は神の中に有る」ということを
勝利の歓喜の中、星条旗は翻る
自由の地 勇者の故郷の上に!
 
 
敵を「邪悪」と表現し、自分たちを「愛する者を……守り続ける国民」とするのは、今のハリウッド映画そのままです。
 
アメリカでは南北戦争という内戦でも、正義と悪の戦いということになっています。
日本では、たとえば「平家物語」とか、武田信玄と上杉謙信の戦いとか、関ヶ原の戦いとか、どれにしても正義と悪の戦いとは見なしません。むしろ敗者に同情的なのが特徴です。
日本人とアメリカ人では戦争観がまるで違います。
 
今後、安保法制に基づいてアメリカの戦争に日本が参加するか否かという問題が出てくるかもしれませんが、これほど戦争観が違うのにいっしょにやるのはむりがあるはずです。
 
それにしても、アメリカ国歌がこれほど好戦的であることを日本人はどれくらい知っているのでしょうか。