トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことが世界各国から批判されているのは当然です。北朝鮮がミサイル試射をすると「挑発」だといって批判されますが、今回のトランプ大統領の決定もイスラム世界に対する「挑発」です。
 
トランプ大統領は真珠湾攻撃の記念日にも日本を「挑発」するようなことを言っています。
 
 
トランプ氏、真珠湾攻撃は「邪悪な急襲」
 【ワシントン=永沢毅】1941年の日本軍の真珠湾攻撃から76年を迎えた7日、トランプ米大統領は攻撃から生き延びた元米兵をホワイトハウスに招いた。真珠湾攻撃について「邪悪な急襲だ」と批判し、「米国のために戦った勇敢な戦士たちを決して忘れない」と称賛した。
 トランプ大統領はこれに先立ち、ツイッターに「リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)」と書き込んだ。
 
 
「邪悪」とか「リメンバー・パールハーバー」とか言われて、日本人はどう反応したかというと、今のところなんの反応もしていません。
左翼はもともと真珠湾攻撃を批判していましたが、右翼は「自存自衛」の戦いだったとか、コミンテルンやルーズベルトにはめられたとかいって真珠湾攻撃を正当化していたので、ここは反論するべき場面です。
しかし、右翼がものを言えるのは韓国や中国に対してだけのようです。
いや、左翼もアメリカにはものが言えません。沖縄の基地問題も、アメリカよりはもっぱら日本政府を批判しています。
 
 
ゆがんだ日米関係がどうして生じたかについて、白井聡氏は「永続敗戦論」という本で「敗戦の否認」という言葉を使って説明しています。日本人は敗戦を否認するがゆえに、今もアメリカに敗戦し続けているというのです。
 
私はそれに加えて「アメリカへの恐怖」というものを想定すると、うまく説明できると思います。
 
戦後の日本人は無意識にアメリカを恐怖し続けています。
この恐怖から逃れるひとつの手段は、アメリカの懐に飛び込むことです。
「窮鳥懐に入れば猟師も殺さず」です。
日本が安全保障政策で限りなくアメリカとの一体化を追求しているのはそのためです。
 
ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のスタッフであるダニエル・フーグスタ氏は、JNNの取材に「日本は核兵器廃絶のリーダーになる力がある。アメリカの核の傘から離れるべきだ」と語りました。
 
これに対して5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)では、
「核がないから、核落とされたのにバカだろ」
「護衛の兵士から離れてジャングルの中を丸腰で進めと? どんだけ無慈悲やねん」
といった反論ばかりです。
核の傘から離脱するのがよほど恐怖のようです。
 
この恐怖は中国やロシアや北朝鮮の核兵器に対するものばかりとは思えません。
核の傘から離脱するということは、日米安保体制を見直して、日本はアメリカから自立するということでしょう。
日本とアメリカは普通の国と国の関係になります。そうすると、ときには対立し、対立がこじれることもあるでしょう。
アメリカはもう2発原爆を落としていますから、3発目を落とすハードルはかなり低くなっています。
アメリカと普通の関係になることが日本人は怖いのではないでしょうか。
 
そう考えると、かつてあった非武装中立論というのも理解できます。
丸腰になってしまえばアメリカは攻撃できないだろうということで、それはそれで安心が得られます。
 
つまり戦後の日本人は「アメリカへの恐怖」を持ち続けて、それから逃れるために窮鳥作戦と丸腰作戦のふたつの方法を考えたのです(核武装して自立するという作戦も一部にありました)
 
今は窮鳥作戦を採用しています。
窮鳥は懐にいる限り猟師から守ってもらえますが、自立しようと飛び立てば、そのとたんに撃たれるでしょう。
 
日本は経済問題ではアメリカとある程度対等に近い交渉ができますが、安全保障問題についてはひたすら従うだけです。
こういう現状から抜け出すには、日本人が根深く持っている「アメリカへの恐怖」を自覚しなければいけないと思います。