小泉純一郎首相は2005年の日米首脳会談に際して「日米関係が良ければ中韓はじめ世界各国と良好な関係が築ける」と語ったことがありました。
小泉氏らしい直観の言葉ですが、半分ぐらいは当たっていそうです。
安倍首相も同じ考えで外交をやってきたのではないでしょうか。
 
日韓関係は慰安婦問題でかなりぎくしゃくしましたが、結局アメリカが仲裁して日韓合意が成立しました。
また、安倍首相は靖国参拝にこだわっていましたが、アメリカに止められて、おかげで中国との関係がそれほど悪化しませんでした。
アメリカは日本よりも大局的見地があるので、アメリカに従うことでうまくいったケースです。
 
しかし、アメリカ一辺倒の外交のマイナスも当然あります。
たとえば対ロシア外交で、北方領土返還がうまくいきそうでしたが、最後まで日本は「北方領土に米軍基地はつくらせない」と言うことができなかったために、結局だめになりました。
 
そして、トランプ大統領の登場で、アメリカ一辺倒の外交は完全に破たんしました。
 
安倍首相はトランプ大統領と個人的に親密な関係を築こうとがんばってきましたが、トランプ政権は鉄鋼・アルミの輸入制限を発動して追加関税を課し、日本はアメリカの同盟国で唯一適用除外国から外されました。安倍首相がこれまでやってきたことはなんだったのかということになります。
 
トランプ大統領は3月22日、対日貿易赤字に関して、「安倍晋三首相と話をすると、ほほ笑んでいる。『こんなに長い間、米国を出し抜くことができたとは信じられない』という笑みだ」と語りました。これに対して、安倍首相はもとより日本政府高官の誰一人として反論をしませんでした。これではなめられて当然です。
トランプ大統領はディールを得意としています。安倍首相はディールの対象ではなく、「なにをやってもいい相手」と認識されたのでしょう。
トランプ大統領に媚びる作戦が完全に裏目に出ました。

「日米関係がよければ世界各国とよい関係になる」という考え方だったのに、日米関係が悪くなっては土台から崩れてしまいます。
かりに日米関係がうまくいっても、トランプ大統領には大局的見地がないので、日本はアメリカに利用されるだけになります。
 
トランプ大統領は日本にとって、さらには世界にとって最大のリスクです。
 
トランプ大統領はイラン核合意から離脱することを表明しましたが、この調子では、米朝合意がなされてもいつトランプ大統領は離脱を表明するかわかりません。
北朝鮮もそれはわかっているはずです。
ということは、北朝鮮は本気で米朝合意を目指しているのではなく、時間稼ぎをしているのではないかということになります。
 
北朝鮮の真意はわかりませんが、トランプ大統領の真意はもっとわかりません。
安倍首相はそんなトランプ大統領をいまだに頼りにしています。
拉致問題の解決もトランプ大統領頼みです(日中韓首脳会談では中国と韓国にも頼みました)
日本人拉致問題は、日本と北朝鮮との問題ですから、他国に頼むことではありません。
アメリカ依存の外交を続けてきた安倍首相は、そういうこともわからなくなっているようです。
 
日本外交の立て直しのためにも安倍首相には退陣してもらうしかありません。