日大アメフト部の問題と森友加計問題が似ているなと感じる人は多いでしょう。私は日大が安倍政権のやり方を真似しているのだと思っていましたが、そんな表面的なことではなく、もっと根深い問題がありました。
 
日大には危機管理学部があって、そのため「自分のところの危機管理もできないのか」と揶揄されています。
日本には危機管理学部が三つあって、日大のほかは千葉科学大学と倉敷芸術科学大学ですが、千葉科学大学と倉敷芸術科学大学は加計学園の系列です。
しかも、この三つの危機管理学部の上部組織である一般社団法人「日本安全保障・危機管理学会(JSSC)」の名誉会長には「安倍晋三」の名前があり、和田政宗議員や佐藤正久外務副大臣など日本会議系の人たちが名を連ねています。
ということは、安倍首相、日本会議、加計学園、日大がみんなつながっていたのです(日本会議系ということで森友学園もつながっています)
 
日本安全保障・危機管理学会はその中心にあるのかもしれません。
 
日本安全保障・危機管理学会のホームページを見てみました。
 
日本安全保障・危機管理学会
 
 
トップページに二見宣理事長(元陸上自衛隊業務学校副校長)がこんなことを書いています。
 
 強い反日思想を持った北朝鮮や中国は、日本向けて核兵器が、何時ごろ、どのような状況なれば日本に被害を与えるでしょうか。まず北朝鮮が一番危険です。偉大な将軍様の発言からも、「日本」とか「在日米軍」といった言葉が多くなりました。また、北朝鮮は、経済的には悪化します。(原文ママ)
 
文章の推敲ができていません。学会のホームページがこれでいいのでしょうか。
それに、北朝鮮や中国は強い反日思想を持っていると決めつけています。安全保障の専門家の発想とは思えません。
 
二見理事長はまた、こんなことも書いています。
 
アメリカの陸軍情報学校に留学中に、すぐ近くの学校でシェルターに避難する訓練を見学しました。当時はまだベトナム戦争が華やかなりし頃で、米ソ対立の時代でした。アメリカは、小学校から、中学校―高校の順でシェルターを整備したようです。
 欧米各国は対核爆発準備をしているのですが、日本はそういう準備は全くしていないし、核兵器について議論をすることもしません。原発事故や災害についても同じような程度です。
 
 311日の東日本大震災のときに、ちょうどビッグサイトに行く途中でした。外資系企業の社員はヘルメットを着用していました。ところが日本人企業の社員は普段の姿でした。日本人は、企業を含め危機対応が鈍い国民です。今のままでは、犠牲者が増える一方です。
 
欧米に比べて日本は――というお決まりの発想で、これも危機管理の専門家のものとは思えません。
 
渡辺利夫会長(拓殖大学総長)は「憲法第九条問題を正視せよ」と題した文章で改憲論を述べていますが、これはあくまで政治的主張で、安全保障の議論とは違います。
 
全体的に日本会議的なイデオロギー臭が強くて、学会とか学問という感じがしません。
田母神俊雄氏の論文に近いものがあります。
 
危機管理の専門家ということで私が想起するのは佐々淳行氏です。佐々氏は警察官僚のときにあさま山荘事件で指揮をしたということを売りに、危機管理の第一人者としてテレビによく出ていました。
しかし、佐々氏が危機管理の第一人者なら、危機管理学なるもののレベルもわかります。
 
危機管理学部の教員のほとんどは警察と自衛隊の天下りです。
日大も加計学園もまったく危機管理ができていませんが、ただ、不祥事を起こした場合は、警察の追及が甘くなるというメリットは期待できそうです。
 
日大危機管理学部は2016年、倉敷芸術科学大学危機管理学部は2017年に開設されました。
安倍首相が「危機管理学部はいいね」と言ってつくったのかもしれません。
安倍首相も、警察の天下り先をつくることで警察の追及が甘くなるというメリットを期待しているのかもしれません。
 
アメフトのタックルひとつから日本の意外な支配構造が見えてきました。