山本真千子大阪地検特捜部長は公文書改ざんについても国有地不正払下げについても不起訴にすると発表しました。
その記者会見にテレビカメラは入っていません。「ちゃんと顔をさらして発表しろよ」と思いましたが、地検特捜部が記者会見をしたこと自体が特別の配慮だそうです。
山本特捜部長は、安倍政権への遠慮はなかったかと記者に問われて、「政治的な意図というものはまったくございません」と言ったそうですが、どんな顔で言ったのか見たかった気がします。
 
人間は顔を見れば、嘘をついているかどうかだいたいわかるものです。日大アメフト部の宮川選手の記者会見と、内田監督、井上コーチの記者会見を見比べれば歴然です。
 
加計学園の渡辺良人事務局長は愛媛県庁を訪れ、加計理事長と安倍首相の面会はなかったとして謝罪しましたが、誰が嘘を言ったのかと質問され、「あのメンバーならぼくしかいない」「その場の雰囲気で、ふと思ったことを言った」「うそというか、そういう思いをもって説明したんだと思う」などと、曖昧な言葉を並べ立てました。しかも、そのときの表情が、立憲民主党の枝野幸男代表が言うように「ヘラヘラ笑いながら」でしたから、誰が見ても嘘だとわかります。
 
しかし、意外と「嘘をつくな」といったストレートな反応はありません。「安倍首相と加計理事長が面会していないとすると整合性がとれない」といった反論が主です。
渡辺事務局長はおそらくまじめな人なのでしょう。加計理事長から「自分が嘘をついたと言ってこい」と言われて愛媛県庁に出向いただけです。監督やコーチから言われて悪質タックルをした宮川選手みたいなものです。
ですから、渡辺事務局長を批判するのも気の毒ではあります。悪いのは渡辺事務局長に指示したと思われる加計理事長ですが、加計理事長はまったく表に出てきません。
 
日大の田中英寿理事長も表に出てきませんが、内田前監督、井上前コーチは完全に嘘つき認定されて、日大の経営陣に対する批判が高まっています。
それに対して、森友加計問題における佐川氏、柳瀬氏、そして今回の渡辺事務局長は、明らかに嘘をついているのにそれほど批判されず、安倍政権も内閣支持率は落ちているものの、それほど追い詰められていません。
 
この違いはなにかと考えると、日大の田中理事長、内田前監督は権力者であるとはいえ、それは日大内部のことです。一般の国民には関係のないことですから、遠慮なしに批判できます。
ところが、安倍政権は日本全体を支配する立場にあり、とりわけ読売新聞、産経新聞、日経新聞、そしてすべてのテレビ局は政権の走狗と化すか意向を忖度するかしています。また、検察も今回、政権の支配下にあることがわかりました。
安倍首相は玉木雄一郎議員に対して、「嘘つき」と言われたと言ってキレたり(実際には玉木議員は「嘘つき」とは言っていません)、福島瑞穂議員が安倍首相と加計理事長の関係を追及したとき、安倍首相は「特定の人物の名前を出した以上、確証がなければその人物に対してきわめて失礼ですよ。あなた責任とれるんですか」と恫喝したりしています。これはパワハラです。日本人は権力に弱い傾向があるので、こうしたパワハラに萎縮する人もいるかもしれません。
今回の大阪地検特捜部の決定に対しても、国民から怒りの声はそれほど上がりません。
 
日大アメフト部の部員たちは声明文を発表しましたが、きわめて優等生的な作文で、コーチ陣の入れ替えなどの要求はありませんでした。日大内部にいるとこうしたことになってしまいます。
日本国民も安倍政権下にいるので、日大アメフト部員みたいになっているのではないでしょうか。
いわば日本国の日大アメフト部化です。
 
もちろん日大アメフト部と日本国はまったく違います。運動部の部員は監督の支配下にあるかもしれませんが、民主主義国家の国民はむしろ首相を支配する立場にあります。
日大の田中理事長や加計学園の加計理事長を批判するよりももっと遠慮なしに安倍首相を批判すればいいのです。