「おねがいゆるして」などとノートに書き残して親に虐待され死亡した東京目黒区の船戸結愛ちゃん(5歳)の事件があまりに悲惨だったことから、安倍首相が関係閣僚会議において緊急対策を指示するなど、政府や自治体で幼児虐待への対策が進められています。
児童相談所間の連絡を密にするとか、法的に親権を制限するとかの議論があって、それも必要なことですが、幼児虐待対策というのは、結局は人です。
幼児虐待に直面した児童相談所の職員や警察官や近所の人などが適切に対応できるか否かがいちばん重要です。
ということは、適切に対応できない人もいるということです。いくら法制度を改善しても、そういう人が現場にいては意味がありません。
 
幼児虐待にうまく対応できない人はどういう人かというと、ちょうどよい見本がありました。
 
 
松本人志、5歳女児虐待死に心痛める「すぐに生まれ変わって、温かい家庭に」
 ダウンタウン・松本人志が10日、レギュラーコメンテーターを務めるフジテレビ系「ワイドナショー」に出演し、「おねがいゆるして」と書き込まれたノートが残された5歳女児の虐待死に関するニュースに心を痛めた。
 「この女の子はすぐに生まれ変わってね、温かい家庭に生まれてくることを願います」。2009年10月に第1子長女が誕生している松本が親の顔をのぞかせた。
 番組で取り上げるニュースのチョイスはスタッフに任せているという松本は、「今週、できたらこのニュースは扱いたくないなと思っていた」と神妙な面持ちを浮かべた。
 「家でテレビを見ていてもこのニュースになるとチャンネルを替えるんですよ。どういうニュースかは知っていますけど、それだけに見たくないんですよ」と沈痛な思いを吐露した。
 ゲスト出演したヒロミも「これはニュースを見ていて本当にムカついた」と怒りをにじませていた。
 
 
松本人志氏は、このニュースを見たくなくてチャンネルを変えるし、自分の番組でも扱いたくないということです。
もし松本氏が児童相談所の職員になってこの事件を担当したら、見たくないし扱いたくないので、「虐待は認められません」と言って逃げてしまうかもしれません。
「生まれ変わって温かい家庭に生まれてくることを願います」というコメントも、無意味というか、なにも言っていないのと同じです。思考停止状態なのでしょう。
 
 
松本氏が幼児虐待に対応できないのは、松本氏の思想に問題があるからです。
松本氏は体罰肯定論者です。テレビでも再三その立場で発言しています。
たとえば昨年、ジャズトランペット奏者の日野皓正氏が指導する男子中学生にビンタしたことが問題になったとき、松本氏は「本当に反省したのであれば指導として正しかったんじゃないかと思う」「我々くらいの世代はすごく体罰を受けた。なぜ今はだめで、昔は良かったんですか」「体罰を受けて育った僕らは、べつに今、変な大人になってないじゃないですか」などと語りました。
また、横綱日馬富士が貴ノ岩を殴ってケガさせたために引退したとき、「僕は引退する必要はなかったと思いますね。なぜ、相撲協会が(引退届を)受理したのか。根底にあるのは正義感だったと思ってるんですね」「稽古と体罰って、すごいグレーなところで、それで強くなる力士もいると思うんですね。だから、僕は日馬富士に関しては味方ですね」などと語りました。
 
体罰というのは、強い者から弱い者への一方的な暴力ですから、幼児虐待と基本的に同じです。体罰肯定論者の松本氏は、幼児虐待の悲惨さを見ると、自分の思想の間違いに気づかざるをえないので、幼児虐待から目をそむけてしまうのです。
 
松本氏みたいな人が幼児虐待対策の現場にいては、対策がうまくいきません。
 
児童相談所の職員というと児童福祉の専門家だと思われるかもしれませんが、そんな職員はごく少数で、ほとんどは一般の公務員が数年のローテーションで児童相談所に異動してきて去っていくだけです。当然その中には松本氏みたいな人もいます。
 
ですから、児童相談所職員はもちろんのこと、幼児虐待の現場に接触しそうな警察官、教師、医師、カウンセラーなどに対して虐待、体罰、しつけなどについての意識調査を行い、幼児虐待に対応できる人とできない人にあらかじめ分けておき、虐待案件と思われるときはそういう人が担当することにすれば、まずい対応は格段に少なくなるはずです。
 
虐待する親と虐待しない親がいるように、虐待に対応できる人と虐待に対応できない人がいるということを踏まえて、幼児虐待対策の法制度を整えていく必要があります。