若者が異常な殺人事件を起こした場合、犯人はほぼ確実に幼児虐待の犠牲者です。それ以外に原因がありえないからです。
 
6月26日、島津慧大容疑者(21歳)は富山市の交番で警官を刺殺して拳銃を奪い、さらに近くの小学校の警備員を射殺するという事件を起こしました。
6月9日には小島一朗容疑者(22)が新幹線車内で刃物で3人を殺傷する事件を起こしていて、このふたつの事件はよく似ています。
 
新幹線殺傷事件については週刊文春が小島容疑者の家庭環境についてけっこう詳しい記事を書いていたので、このブログで紹介したことがあります。
 
小島一朗容疑者の父親像
 
そして、富山市交番襲撃事件についても週刊文春7月12日号が「富山交番襲撃犯 元PTA会長で少年補導員だった父の“鉄拳教育”」という記事を書いていました。

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この記事から何か所か紹介してみます。
 
 
記事によると、島津慧大容疑者の家庭環境は、共働きの両親と姉の4人暮らしです。
地元の小・中学校に通っていたころは親しい友人はあまりいなかったということです。
 
 
中学二年生の途中からは、家にこもりがちになった。その頃、島津家は修羅場と化していた。
「父親が若いときは、玄関先で息子の胸ぐらをつかんで『お前!』と叫びながら、殴っていたのを何回も見ました」(前出・親族)
だが、島津が成長すると、関係は逆転していった。アメフト経験者で身長百八十センチを超える父親も音を上げるほど息子からの暴力は激しくなり、数年前には警察を呼ぶこともあった。
「両親と一緒に出掛けた帰り、車から降りた途端に助手席のドアを蹴っ飛ばしているのを見ました。その強さはボディを凹ませるほどでした。奇声もよく聞こえ、夜中の一時とか二時とか、多いときは何時間か続く時も。両親に対して言っているように聞こえる時もあった。とにかく、『オォォー』とか壁を叩く音が凄かった」(同前)
耐えかねた父と母、姉は近くに別の家を探し、出ていった。一人残された島津は、高校には行かず、およそ三年半の間、自宅に引きこもっていた。
自宅二階のカーテンが引き裂かれるなど、外からでも荒れ具合が見て取れる。
しかし、島津は三年前に一念発起し、自衛隊への入隊を決意する。
「お父さんはとても喜んでいて『おらんとこの息子でも間に合うんかの。行ってくれるゆうからよかったちゃ』と言っていました。この子ならやっていけると思った」(自衛隊関係者)
両親も家に戻り、うまくいくかと思われた。しかし親族の見方は違ったようだ。
「とんでもないところに入ったなと思いました。入れてはいけないヤツを入れてしまったというのは、今回の問題点ですよ」
 

島津容疑者は2年間で自衛隊を辞め、そのころから銃へ強い関心を示すようになって、自宅からはモデルガンや銃器に関する書籍も押収されたということです。一時は電気工事会社に就職しますが、長続きせず、フリーターになります。

 
事件の原因について、親族は父親との関係が影響していると語る。
「子供を捨てたのが失敗だった。思春期に広い一軒家に二年半もひとりで暮らしていたら、おかしくなると思いませんか?」
その父親は島津の通う小・中学校でPTA会長や地域の少年補導員も務めていた。息子が出席していない学校行事で、挨拶する姿も確認されている。
「教育に関する講演もされていました。よく松下幸之助の十カ条をたとえに出すなど教育には熱心だったと思います。ただ、思い込みの激しい一面もあって、人の意見を聞かないところがあった」(元PTA役員)
 
 
父親の職業はこの記事には書いてありませんし、今のところ検索してもわかりません。しかし、「教育に関する講演」もしていたというので、教育関係者かそれなりの社会的地位のある人間かもしれません。
 
親族は二年半ひとり暮らしをさせたのが失敗だったと言っていますが、そのときはすでに島津容疑者の家庭内暴力がひどくて、そうするしかなかったのでしょう。むしろひとり暮らしで少しはまともになって、それで自衛隊に入ろうという前向きの気持ちが出たのではないかと思われます。
 
もちろん問題は、父親の暴力です。幼児期に親から振るわれた暴力は、人格形成にきわめて深刻な影響を及ぼします。
 
幼児期に虐待されたからといって、それだけで犯罪者になるわけではありません。虐待にも程度がありますし、そのほかのさまざまな要素も関係します。島津容疑者にしても、たとえば自衛隊に適応するとか、いい女性との出会いがあるとかすれば、まったく変わっていたでしょう。
 
しかし、普通に育った人間であれば、たとえば離婚して、事業に失敗して、人生のどん底に落ちたとしても、人を殺してやろうという発想にはなりません。
その意味で、「異常な犯罪の最大の原因は、犯人が幼児期に虐待されたことである」ということがいえるのです。
 
しかし、マスコミを初め世の人々はなかなかこの事実を認めようとしません。
今回の事件でも「バイト先でのトラブルが事件の動機だ」といった報道がけっこうあります。
島津容疑者はバイト先のファストフード店で店長を殴って店を飛び出し、その日に犯行に及んだというのは事実のようです。しかし、バイト先でのトラブルは「動機」ではなくあくまで「きっかけ」です。
 
週刊文春は新幹線殺傷事件といい今回の富山交番襲撃事件といい、容疑者の育った家庭内部のことをよく報道しています。
幼児虐待は子どもの心をひどく傷つけるので、それがうまく癒されない限り、のちに重大な問題を引き起こす可能性があるのは当然のことです。