「平和を望まない人間はいない」とよく言われますが、ほんとうでしょうか。

トランプ大統領とプーチン大統領は7月16日、フィンランドのヘルシンキで米ロ首脳会談を行いましたが、この会談を評価する人がほとんどいません。
アメリカで、もともと反トランプ派の人が批判するのは当然として、最近はトランプ支持を強めている共和党保守派も口をそろえて米ロ首脳会談を批判しています。
NATO諸国からも評価する声は聞こえてきまません。
「日米は完全に一致」が口ぐせの安倍首相も、今のところ評価する発言はしていません。
日本のメディアもどちらかというと批判的です。
 
私はトランプ大統領のほとんどすべてに否定的ですが、唯一肯定できるのは、トランプ大統領がロシアと仲良くしようとしている点です。
アメリカとロシアがどんどん友好を深めて、平和条約を締結することになれば、世界は激変します。
 
ベルリンの壁が崩壊してロシアが資本主義国になると、アメリカとロシアが対立する理由はなくなりました。しかし、なぜかいまだに冷戦が続いています。
今、アメリカとロシアの間にある問題は、ロシアのクリミア併合、ロシアのシリア内戦への介入、ロシアによるアメリカ大統領選挙介入疑惑、それとロシアの元スパイがイギリスでノビチョクによる攻撃を受けて重体となったことなどです。つくられた問題もありそうですし、クリミア併合などは認めてしまえばそれで終わりです。
どの問題もアメリカが乗り越えようとすれば乗り越えられるものです(つまり冷戦を継続させているのはアメリカです)
 
ロシアとの冷戦が終われば、アメリカがヨーロッパに軍事基地を置いている意味はなくなり、アメリカは大きな経費削減ができることになります。
アメリカと北朝鮮の友好関係が確立されても同じことが起きます。
アメリカは在韓米軍を引き上げることが可能ですし、さらには在日米軍の存在理由も大幅になくなります。
 
「平和の配当」という言葉があります。冷戦が終結すれば軍事費が削減でき、それをほかに回せるという意味です。
クリントン政権のとき、「平和の配当」は実際にありました。1989年にはアメリカのGDPの5.9%を占めていた軍事費は1996年には3.6%にまで下がり、おかげでアメリカ経済は好調でした。
ところが、9.11テロをきっかけにアメリカはアフガン戦争、イラク戦争で軍事費を増大させ、「平和の配当」をほとんど失ってしまいました。
 
 
トランプ大統領がなにを考えているのかわかりません。ロシアとの友好を模索する一方で、NATOに対しては軍事費を増大するように要求していますから、なんの戦略もなさそうです。
しかし、トランプ大統領がロシアと北朝鮮との友好を進めていけば、世界は「平和の配当」を受け取れる理屈です。
ここは「豚もおだてりゃ木に登る」に習って、トランプ大統領をおだてあげて木に登らせればいいのです。

考えてみれば、米ロ友好や米朝友好を批判する声が多いのは、軍事利権につながる人たちがいかに多いかということなのでしょう。
「平和の配当」か「戦争の配当」かで綱引きが行われているのです。